研究課題/領域番号 |
19K01088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 学習院女子大学 |
研究代表者 |
武井 彩佳 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (40409579)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ホロコースト / 裁判 / ナチ犯罪 / ユダヤ人 / 絶滅収容所 / ラインハルト作戦 |
研究成果の概要 |
本研究では、なぜドイツでは現在もナチ犯罪者の訴追が続くのかという問いに発して、1950~60年代のドイツ連邦共和国におけるナチ犯罪の司法訴追の実態を明らかにした。具体的には、「ラインハルト作戦」の絶滅収容所で行われた大量殺人の関係者に対して、主に1950~60年代になされた裁判が、①何を裁き、②何を裁き得なかったのか、③裁き得なかった理由は何であったのかを分析した。これにより、ホロコースト犯罪を刑法の謀殺罪で裁くことの限界、個別の殺人を立証する十分な証拠の欠落、さらに「上官命令の緊急避難」の抗弁を覆すことの困難さ等、法的にテクニカルな問題が無罪判決を導いたことが明らかになった。
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自由記述の分野 |
ドイツ現代史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的な成果:日本ではほとんど知られていない、「ラインハルト作戦」関連の一連の裁判を分類し、相互に関係する裁判の流れを明らかにした点である。これら裁判群を整理し、その中でベウジェツ裁判の実態を示したことで、ホロコースト犯罪者の司法訴追の実証的研究に先鞭をつけた。 社会的な意義:ドイツではなぜ先の戦争における罪がいまだに問われるのかという問いに対して、これが必然的に現代まで持ち越される歴史的な経緯を法解釈と共に明らかにした。「過去の克服を徹底するドイツはすごい」といった単純な理解に対し、戦後ドイツ司法の具体的な歩みを示すことで、複眼的に評価することを可能とした。
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