研究課題/領域番号 |
19K01097
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
幸泉 満夫 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (50598878)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 対馬暖流ベルト地帯 / 扁平打製土掘具 / 横刃型刃器類 / 脱殻・粉砕関連具 / 大陸型(系)石刀 / 鹿角斧 / 初期農耕 / 中部・関東における土掘具の出現 |
研究実績の概要 |
1.学外資料調査 2019年度冬から2021年度10月までの、約3年間にも及んだコロナ禍による学外資料調査の自粛(延期又は中止)による影響は、依然として払拭できない。2022年度はようやくのオミクロン株に対する規制緩和を受け、資料調査を平均月1回、各5日間ペースで実施するというタイトスケジュールを敷き、挽回に向けて全力を尽くしてきた。 2.学内整理研究 翌2023年度中の実施を計画する成果発表の準備と、成果学術書Ⅱ以降の発刊を目標に、次の点で研究課題を前進させた。①実測図類978枚のうち、基礎的な清淨作業を進めている(約45%完了)。②デジタル画像11,200葉について、Adobe社製フォトショップ上等で基礎的な画像処理を進めた(約55%完了)。③日本海側の対馬暖流ベルト地帯における石器群との器種組成の違いを明確にする目的から、中九州・豊後水道ベルト地帯から西部瀬戸内にかけて分布する尖頭状礫器を再定義するとともに、成果を論文形式で発表した(以下「研究成果」を参照)。④新たに中津Ⅰ式成立期を提唱するとともに、研究成果を論文形式で発表した。⑤対馬暖流ベルト地帯の一角を成す西部瀬戸内を対象に、農耕関連石器群に対して、二編の論考を論文形式で発表した。⑥前年度の中間成果発表の内容の一部を福井県若博の研究紀要に論文形式で発表した。⑦縄文後期後葉~弥生前期における北陸西部と山陰中部、ならびに四国地方との社会関係について、「三田谷系土器文様」を対象に考察結果を論文形式で発表した。⑧岩田系土器群の広域比較研究を実施し、その成果を査読付論文一本として発表した。⑨新石器時代併行の大陸型(系)石刀群について、成果を査読付論文一本として発表した(以下「研究成果」を参照)。 3.関係機関打合せ 協議を重ねた結果、新たな学術成果発表の受け容れ先に関して、複数施設より、前向きな回答を賜っている(継続事項)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
約3年間、自粛を余儀なくされたコロナ禍(COVID-19)の影響により、現状なお、大幅な遅れを生じている。2022年度は、これまでの遅れを取り戻すべく、年間で合計62日間もの学外出張を実施し、未公開品を含む関連資料の実測、撮影に尽力の限りを尽くしてきた。しかしながら、それでも未達の必須の調査箇所が複数、残存している。なかでも対馬の評価は欠くことができない。コロナ禍前から交渉を重ねてきたが、生憎と、他大学との競合等、諸処の事情もあり、「早くとも2023年秋以降の対応」といった行政的回答のみである。今後とも当該計画の達成を見直すうえで予断を許さないのが現状である。このほかにもコロナ禍の影響により、本来、実施すべきであった調査案件が山積している。
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今後の研究の推進方策 |
以上のように、当該課題では採択初年度の2020年冬以降、実に、3年間にも亘る未曾有のコロナ禍の影響により、当初計画していた資料調査の大部分を長期間延期、ないしは、中止とせざるを得ないという好ましくない状況が続いてきた。繰り返す通り、2022年度は出張トータル62日間という非常にタイトなスケジュールを鋭意こなしたものの、当初計画通りの遂行はなお困難といえる。無論、続く2023年度も全力で挑む覚悟であるが、資料調査未達がほぼ確実視される現状に加え、資料閲覧をめぐる不透明要因も複数横たわる現況から、今後、当該課題に充分な学術成果を付与させるうえでは、当初計画の一部見直しを余儀なくされる可能性も危惧されるところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響から、当初予定していた資料調査に伴う出張計画の大部分を延期、ないし注視せざるを得ず、その影響から次年度使用額が発生している。
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