• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

古代エジプト中王国時代末期の王朝交替プロセスの解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K01098
研究機関東日本国際大学

研究代表者

矢澤 健  東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員教授 (10454191)

研究分担者 吉村 作治  東日本国際大学, 経済経営学部, 総長 (80201052)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード古代エジプト / 中王国時代 / メンフィス / テーベ / ダハシュール北遺跡 / 王朝交替
研究実績の概要

エジプト中王国時代末期における統一王朝の衰退と北部メンフィス地域から南部テーベ地域への中枢の移動、その過程における外来勢力拡大との関係など、当該期の王朝交替プロセスを墓出土資料の考古学的検討を中心に碑文資料や理化学的手法を併用して解明することが、本研究の目的である。そのため、メンフィス地域で王朝交替の前段階に当たる時期に墓が造営されたダハシュール北遺跡の発掘と、得られた資料による分析を毎年度実施した。
2022年度には、前年度にダハシュール北遺跡で発見した、同遺跡で最大級の中王国時代の墓、163号墓で発見された埋葬の分析を実施した。この墓は既に盗掘を受け、副葬品の大部分は持ち去られていたが、内部に碑文・図像が描かれた箱型の木棺が残されていた。木棺は極めて保存状態が悪く、碑文・図像の大部分は失われていたが、底部を含め箱内部の全面に碑文が書かれていたことが分かった。そして東側の側面は最も状態が良く、内面の向かって左側には供物が盛られた卓の図像、中央部には「口開けの儀式」について記されたコフィン・テキストの章句、右側には供物のリストが書かれていたことが分かった。碑文から、被葬者の名前はプタハエムサフ・ネフェルビイトであることが判明した。生前の役職を示す称号などは確認できなかった。
また、2023年にダハシュール北遺跡の発掘調査および出土資料の整理作業が遂行された。遺跡の中央部付近に南北10m、東西20mの調査区が設定され、発掘の結果7基の竪穴墓が発見され、その内2基が中王国時代のものと判明した。この内の1つは竪穴と地下の埋葬室の間にスロープ状の通郎が設けられ、埋葬室天井はヴォールト状を目指して掘削されていたようであり、本遺跡ではこれまでに見られなかった特徴を持っていることが判明した。残念なことに副葬品はほとんど残されておらず、被葬者の詳細や年代を示す資料は得られなかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うちオープンアクセス 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] A Brief Report of the Excavation at Dahshur North: Twenty-Seventh Season, 20202023

    • 著者名/発表者名
      Sakuji Yoshimura, ken Yazawa, Hiroyuki Kashiwagi, Kazumitsu Takahashi, Keita Takenouchi, Yuka Yoneyama, Seria Yamazaki, Nonoka Ishizaki
    • 雑誌名

      The Journal of SHOUHEI Egyptian Archaeological Association

      巻: 10 ページ: 24-54

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Archaeological Context of Small Faience Items in a late Middle Kingdom Tomb in Dahshur North: Evidence for the Sealing Rite of the Burial Chamber?2022

    • 著者名/発表者名
      Ken Yazawa
    • 雑誌名

      The Star Who Appears in Thebes: Studies in Honour of Jiro Kondo

      巻: - ページ: 533-542

    • 査読あり
  • [学会発表] 紀元前2千年紀エジプトの葬制の変遷を探る―ダハシュール北遺跡第28次調査(2022)―2023

    • 著者名/発表者名
      矢澤健, 吉村作治
    • 学会等名
      第30回西アジア発掘調査報告会
  • [学会発表] 古代エジプト中王国時代の高級官僚を支えた人々―ダハシュール北遺跡からの視点―2022

    • 著者名/発表者名
      矢澤健
    • 学会等名
      早稲田大学考古学会公開講演会・研究発表会
    • 招待講演
  • [学会発表] ダハシュール北遺跡最新発掘レポート(2022)2022

    • 著者名/発表者名
      矢澤健
    • 学会等名
      東日本国際大学エジプト考古学研究所第6回公開研究会
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi