研究課題/領域番号 |
19K01105
|
研究機関 | 公益財団法人出光美術館 |
研究代表者 |
徳留 大輔 公益財団法人出光美術館, その他部局等, 学芸員 (10751307)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 中国陶磁器 / 流通 / 消費 / 陶磁考古学 / 比較 |
研究実績の概要 |
本研究では12世紀から15世紀の中国陶磁器の流通と消費の状況に関して、中国と日本における消費地遺跡の出土状況から類型化と比較を行うことを大きな目的としている。 調査は主に1)中国における南方産陶磁器の消費地遺跡と2)日本における中国南方産陶磁器の消費地遺跡での出土品調査である。2019年度は1)では、夏期に中国の東北・北方地域と冬期に華北地域において、都市遺跡・墓地遺跡・港湾遺跡出土資料を所蔵・保管する博物館や考古研究所において調査を行う予定で研究調査にあたった。 夏期には8月に約2週間、遼寧(瀋陽、朝陽)、内蒙古(赤峰)にて現地の博物館・研究所の展示・所蔵資料の実物観察調査を行い、また現地の陶磁研究者との情報交換も行った。とくに遼寧省文物考古研究所では、関山遼墓出土資料を中心に実物調査観察を行った。内蒙古では赤峰市博物館の黄文博氏の協力を経て、赤峰市博物館、遼上京遺跡、巴林右旗博物館などで実地観察、発掘担当者との情報交換も行った。遼上京遺跡が所在する地域では景徳鎮窯系青白磁の水注・碗類が流通している一方で、壺類は基本的に流通していないことが確認できた。また13世紀以降、龍泉窯青磁も、元朝の中心的な都市遺跡では出土する一方で、地方都市での流通量は極めて少ないことが分かった。 華北地域に関しては、新型コロナウィルス感染症の問題が発生したため、中国の研究協力者らとも協議を重ね、2020年度以降、当該感染症の状況を確認した上で現地調査を実施することで合意した。なお最新の出土資料などに関する情報収集・蓄積は進めている。 日本国内では江戸時代の遺跡(東京都内を中心)から出土する龍泉窯青磁を中心に出土資料の調査を進めている。遺跡の性格(大名の違い)により、所持する器物に異なる傾向があることが確認できつつある。研究は継続中であるが、その研究成果の一部は論文の形で公開した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記の研究実績の概要でも述べたが、新型コロナウィルスの問題が発生したため、2019年度冬期に行う予定であった調査を2年目以降に延期することにした。そのため、中国における実地調査のスケジュールに、若干の遅れが生じている。しかし、比較研究を行うための資料収集は、現地の研究者とも連絡を取りながら進めており、今後、状況が整えば改めて調査を行う予定である。一方で、日本国内で行うことができる資料集成・整理は順調に進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度(2年目)以降に当初1年目に予定していた中国山東・河北地域の現地調査を現地での滞在日数を増やして調査を実施するつもりである。また全体の研究計画は4カ年であることから、新型コロナウィルスに関する感染状況と国の感染症危険情報や指針など状況を見ながら、残り3カ年全体を通して研究のスケジュールを調整しながら進める。なお日本国内における博物館、埋蔵文化財センターでの調査をなるべく前倒しして行うように調整する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症拡大のため、当初予定していた国外調査(中国)を2020年度へ延期したため。
|