| 研究課題/領域番号 |
19K01108
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| 研究機関 | 埼玉大学 |
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研究代表者 |
福原 弘識 埼玉大学, 教育機構, 非常勤講師 (10725956)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | メソアメリカ文明 / 環境文明史 / 考古学 / 古気候学 / 文化人類学 / 年代学 / 初期国家 / 物質文化 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、従来のメキシコ古代史研究に対し、新たに火山噴火をはじめとする環境変動資料を通時的データとして提供・分析する。本研究ではメキシコ中央高原地域において大集落が都市化していく前500年頃から初期国家が形成され放棄される後550年前後までの約千年間を主要な調査対象として、ポポカテペトル火山の噴火降下物と環境変動の記録を含包するチャウトラ湖湖水底部においてボーリング調査を実施し、採取した土壌サンプルを基に放射性炭素年代測定と花粉分析、鉱物の分析をおこない、大規模噴火の年代と環境への長期的影響を検証する。またトラランカレカ遺跡において層位的発掘調査を実施し、初期国家形成期の社会史を環境変動と照らし合わせながら通時的・実証的に考察を深める。これまでにプエブラ州のチャウトラ湖においてボーリング調査を実施し、土壌コアを湖底から採取し、古気候復元のための鉱物分析を米延仁志氏（鳴門教育大学）、放射性炭素年代測定を大森貴之氏（東京大学）、珪藻分析を鹿島薫氏（九州大学）、火山灰分析を檀原徹氏（株式会社京都フィッション・トラック）の下でおこなっている。分析中であることから年代の確定には至っていないものの、火山灰降下の痕跡とその後の植生の大きな変化が長期にわたって起きていた可能性を指摘できる証拠を得ている。トラランカレカ遺跡ではこれまでの住居址発掘調査で得られている出土遺物整理をおこない、貯蔵、煮炊き、食事用の生活土器が発掘調査予定地周辺で出土していることを確認した。本研究は、これまで初期国家成立の背景にあった社会変化の要因の一つとして、無視ないし重要視されてこなかった、火山噴火後の長期的環境変化に着目する研究であり、また環境地球学、地質工学、古環境学、年代学といった理化学分野と考古学の学際研究により、バランスの取れた古代史復元に寄与する研究である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
土壌サンプル採取とその分析を当初の計画通りに順調に推進することができた。しかしながら、2-3月の春季調査では既にCOVID-19の感染が世界的流行拡大傾向にあったことから、作業員との物理的接触を避けるため、当初計画にあるトラランカレカ遺跡における測量調査に代わり、発掘調査の出土遺物整理をおこなった。
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| 今後の研究の推進方策 |
引き続き土壌サンプルの分析とトラランカレカ遺跡の層位的発掘調査や出土遺物の分析を行い、研究成果をまとめて国内外の学会で口頭発表し、論文や本として刊行していく。2020年度夏季及び春季に予定している層位的発掘調査に関しては、今後のCOVID-19の流行状況によっては実施困難な可能性があるものの、現在のところは調査地であるメキシコとの航空機定期便は往来しているため、引き続き情報収集に努め、調査実施の可能性を探りたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
2-3月の春季調査において、測量調査の調査員への人件費・謝金として計上していたものが、COVID-19流行によって測量調査の実施を見送ったため、次年度使用額が生じた。
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