本課題研究の目的は、従来のメキシコ古代史研究に対し、新たに火山噴火をはじめとする環境変動資料を通時的データとして提供し、古代メソアメリカ文明において初期国家が成立する前後の社会変化を環境変動データと層位的発掘調査を基に解明することであった。これに向かい、メキシコ合衆国プエブラ州のチャウトラ湖湖水底部においてボーリング調査、トラランカレカ遺跡で考古学調査を実施し、獲得したデータと先行研究の精査を基に歴史復元を行った。本課題研究では、初期国家成立期における社会変化の要因の一つとしての自然災害とそれによる長期的な環境変動の影響を正当に評価するための議論を提供することができた。
|