縄文時代の装身具のなかでも飛び抜けて数が多く、形態や文様のバリエーションが豊富な土製耳飾りを分析することによって、儀礼的な意味や、集団における個人の帰属の目印、あるいは集団自体の表象的機能上述の社会的な機能に迫ることが期待できる。本研究はこの視点から中部高地地方と北関東地方の縄文後・晩期の代表的な遺跡における土製耳飾りのデータを収集した。それにもとづき土製耳飾りの集団表象としての役割のモデルを構築し、土製耳飾りの大きさの変異、様式構造の遺跡間・地域間の差異などにさまざまな角度から検討を加え、縄文時代の社会組織と儀礼行為の解明の基礎的研究とした。
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