本研究は、古墳時代~飛鳥時代(3~7世紀)の奈良盆地周辺におけるウマ遺存体(馬歯や馬骨)と製塩土器の関係性を中心に考察したものである。塩はウマにとって飼料として必要不可欠な存在であると考えられているが、実態が不明であった。本研究では、南鄕遺跡群(御所市)、布留遺跡(天理市)、十六面・薬王寺遺跡(田原本町)などの当該期の大規模集落において、両者の出土状況を比較検討し、具体的な関係性を追究した。結果、十分な成果を得られなかったが、鍛冶関連遺物、木工(木製馬具)などの重要な手工業生産関連遺物との関係を想定できたので、あらためて馬匹生産は当時の総合産業であるとの見通しを得ることができた。
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