人と木はどのように歩んできたのか。木への信仰は高度な文明社会においても日本文化の根底に流れており無視することができない重要な知見である。本研究では主に人々が木への思いを込めて制作したであろう木彫像や茶室に注目し、用材観の解明を行い、人と木とがたどってきた歴史を学際的に見つめる研究を進めた。中でも欧米の美術館と行った10-12世紀頃の日本の神像彫刻における国際的共同研究は、当時の用材観を紐解く上で重要な諸相を含んでいることが見えつつあり、現在大きな学際研究へと成長し、研究が飛躍している。またこれまでの研究成果を掲載した単著が各種新聞で書評が紹介されるなど、成果の社会への還元も行うことができた。
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