研究課題/領域番号 |
19K01127
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
石井 美恵 佐賀大学, 芸術地域デザイン学部, 准教授 (30555008)
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研究分担者 |
河合 望 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (00460056)
西坂 朗子 東日本国際大学, エジプト考古学研究所, 客員教授 (30454193)
塚田 全彦 東京藝術大学, 大学院美術研究科, 教授 (60265204)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ツタンカーメン王 / 服飾 / パンツ / チュニック / 織密度 / 亜麻 |
研究実績の概要 |
世界的なパンデミックでエジプトへの渡航ができず、国内での移動もできなかったことから、予定していたエジプトでのツタンカーメン王服飾品の実資料研究はできなかった。しかし、研究の目的である「ツタンカーメン王服飾品の材質技法の実証研究」に必要な一部のデータは2020年4月ごろまでに56点分の調査が進んでいたため、2020年4月からの1年間は服飾形態ごとにまとめる作業を行った。服飾形態としては7種類あり、①パンツ②チュニック③襟④ベルト⑤被り物⑥靴下⑦手袋である。これらは発掘時の写真、カーターの記録、保存の記録をインターネットでアクセスできるオックスフォード大学のグリフィスインスティテュートのデーターベースを調べて照合した。そして各服飾品の①両面の高精細写真、②実寸トレース、③織物のデジタル顕微鏡写真、④縫製情報、⑤寸法について1点ごとの電子ファイルをつくり、カルテ化に取り掛かった。これらのデータ整理から明らかになったことは、服飾品の形態により、亜麻の織密度が異なり、品質の違う布が各部位に用いられていることである。特に興味深いことは、肌に近い衣類ほど織密度の高い、つまり、糸の細い上質な亜麻糸が用いられていた。この研究はエジプトの共同研究者らとともに国際博物館協会保存部会北京大会(ICOM-CC Beijin 2021)にてポスター発表2件、口頭発表1件に採択され、1報を論文として発表した。パンツについてはメディアにも注目されNHKとテレビ東京の特集番組で取り上げられ、一般への研究成果の普及となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
世界的な新型肺炎広がりの影響でエジプトに渡航できないことから服飾品の実資料の調査が進められない。現在あるデータの整理と、現地のエジプト人研究者の協力で遅れを取り戻す計画である。
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今後の研究の推進方策 |
ワクチン接種が受けられないとエジプトへの渡航が困難であるため、3年目はすでに収集したデータを丁寧に整理し、分析し、そこから得られた知見を国際誌に発表することで研究を進展させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な新型肺炎の広がりでエジプトへの渡航による研究ができなかったことに加え、自宅のでリモートワークでの勤務体制となったので、実験が必要な研究ができず、もっぱらこれまで収集したデータの整理を余儀なくされたことにより研究費の次年度することとなった。日本でのワクチン接種が6月から開始されたので、次年度後半にはエジプトで実資料の調査ができる期待がでてきたことから、機器の購入を次年度とし、実資料の研究を行う計画である。
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