日本各地には、古代から近代にいたる鉱山遺跡が多数存在している。しかしながら近世以外の鉱山開発と操業の実態は十分に明らかにされていない。鉱山開発は我が国の政治経済、軍事など社会活動に重要な役割を果たしてきた産業であったが文献史学、鉱山史学の研究に比べて坑道内形状や坑道周辺の定量データからのアプローチがかなり遅れている。このため未解明な点が多く残されており鉱山遺跡全体の把握は進んでいない。日本列島上に展開された金銀銅山を中心とする鉱山遺跡の所在、規模、開発年代等の実態を明らかし、鉱山開発初期の技術を詳細に解明し紐解くことが、初歩的ではあるがなによりも学術的に重要である。
|