研究課題/領域番号 |
19K01156
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西井 稜子 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (00596116)
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研究分担者 |
今泉 文寿 静岡大学, 農学部, 准教授 (80378918)
早川 裕弌 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70549443)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大規模崩壊地 / 土砂生産 / 航空レーザ測量 / ドローン測量 |
研究実績の概要 |
湿潤変動帯における大規模崩壊地の土砂生産の実態を明らかにするため,南アルプス早川流域を対象に,2時期(2009年,2015年)の航空レーザ測量データを用いて,大規模崩壊地の空間分布と土砂生産量を調査した.流域には81の大規模崩壊地(10^4 m^2以上)が存在しており,そのうち,2時期の航空レーザ測量データが揃っている57箇所の大規模崩壊地を対象に,標高差分解析から土砂生産量を算出した.崩壊地からの総土砂生産量は約4.4×10^6 m^3に達し,各崩壊地の土砂生産量は大きなバラツキを示した.特徴として,旧版地形図で確認できる崩壊地の土砂生産量が全体の約70%を占めた.したがって,現在の早川流域では,長期間(10^2年スケール)にわたり存在し続ける大規模崩壊地が重要な土砂供給源であると考えられた. また,大規模崩壊地での土砂生産プロセスを明らかにするため,早川流域の七面山崩壊地を対象に,気象測器(雨量計,気温計,地温計,土壌水分計)・定点カメラの設置・観測と無人航空機を用いた写真測量を複数回実施した.定点カメラのデータから,冬期,崩壊地内の積雪深の不均一性が示された.このような積雪深の不均一性は,凍結融解作用の発現強度に大きく影響することが予想されるため,今後,積雪環境が崩壊地内の土砂生産速度の差異に及ぼす影響についても検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
複数時期の航空レーザ測量データを用いた大規模崩壊地の空間分布と土砂生産量の把握(大規模崩壊地の面的把握)については,おおむね順調に進んでいる.一方,大規模崩壊地の重点的観測による土砂生産プロセスの解明については,気象観測測器・定点カメラ等の設置を予定通り行った.無人航空機による測量は,複数回実施したものの,天候の状況等に恵まれず,崩壊地全体の精密な測量には至っておらず,今後,高精度DSM(数値表層モデル)データの取得が必要である
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今後の研究の推進方策 |
2019~2020年の冬期の現地気象データと定点カメラデータを回収し,解析を進める.また,RTKGPS付き無人航空機を用いて,季節ごとの高精度DSMデータを取得し,土砂生産プロセスの解明を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
悪天候による現地調査中止や観測測器の運搬費削減等により,次年度使用額が生じた.次年度使用額は,2020年度の現地調査費(旅費)に使用する予定である.
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