研究実績の概要 |
本研究は、日本における不動産の開発・保有・利用にかかわる主体の変化を分析することで、日本における不動産の金融化の進展状況を明らかにするとともに、不動産の金融化が地域社会とグローバル経済の結合をどの程度深めているのか、また不動産の金融化を通じてグローバルな経済動向が地域社会にどのような影響を与えているのかを明らかにすることを目的とするものである。3年目は、以下の2点の研究を遂行した。 ①日本における不動産の金融化の進展と、それが地域経済に及ぼす影響の検討 不動産投資信託(REIT)などの間接的な保有主体による、2000年以降の不動産取得状況を空間的に把握し、日本における不動産の金融化が地域構造に及ぼす影響を検討した。本研究の成果は、過年度の成果を含め学術雑誌において報告した(“The Financialization of Real Estate in Japan: The Formation of a Core-Periphery Structure “ 2021, Regional Studies 56, 128-139, KIKUCHI Y, Teshima K, Yoshino K)。 ②メガソーラー開発の地域構造に関する調査 不動産の金融化を通じた地域社会とグローバル経済の結合の影響を、実証的に明らかにするため、日本におけるメガソーラー開発を事例に地域調査を実施した。本調査では、メガソーラー開発に関わる主体間の関係を分析することで、地方中小都市や農村地域における土地と金融市場の接点の可視化を試みる。全国と岡山県の津山都市圏におけるメガソーラー開発を検討した結果、地域的に影響の大きい大規模なメガソーラーは、域外の多数の主体が複雑に絡み合った共同投資スキームが多いことが明らかになった。
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