研究課題
基盤研究(C)
本研究は、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)が地域の防災・減災力に与える影響を明らかにするとともに、そのソーシャル・キャピタルを醸成する要因を地理学的視点から解明することを目的とする。令和元年東日本台風によって被災した複数の地域において調査を行った結果、事前避難率が高かった地域では、地理的条件からみた災害リスクの高さを認識している住民が多く、災害リスクへの対応によって地域のソーシャル・キャピタルが醸成されていることが明らかになった。
人文地理学
本研究の成果は、地域の防災・減災力に対するソーシャル・キャピタルの影響力を定量的に明らかにした。また、地理的条件からみた災害リスクや災害弱者の存在は防災・減災力を低下させるだけではなく、むしろそれがソーシャル・キャピタルを醸成させて防災・減災力を高める「強み」にもなりうることを明らかにした学術的意義を有する。地理的条件からみた災害リスクを住民が正しく認識することが鍵であり、高齢化が進展するなかで、地域の防災・減災力を高める方策へと貢献する社会的意義を有する。