研究課題/領域番号 |
19K01186
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
淺野 敏久 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (00284125)
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研究分担者 |
菊地 直樹 金沢大学, 地域政策研究センター, 准教授 (60326296)
清水 則雄 広島大学, 総合博物館, 准教授 (70437614)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エコミュージアム / 都市農村交流 / 環境管理 / エコツーリズム / 東広島市 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,エコミュージアムを用いて,地域の自然・文化環境の保全を,域内の人的交流により進める「具体的な仕組み」を考案することである。事例として「東広島エコミュージアム」を提唱する広島県東広島市を取り上げる。期間中にエコミュージアムの視点から,地域資源の把握,地域の担い手組織の洗い出し,活動への協力意向を調べる。次に,社会実験として,都市住民と周辺住民の参加するワークショップを実施し,手法の評価・内容の評価・参加者の評価などの情報を収集する。それらをもとに,継続的に実施できる事業を考案し,エコミュージアム地域内のサイト間の連携と都市住民を周辺地域に継続的に呼び込む仕組み(組織)を考案する計画である。 本年度について,当初は,知床や佐渡,丹波篠山,出水などの先進地事例調査を行うとともに,令和元年度に実施したフィールド内の地域遺産の現況調査と,利害関係者への聞き取り調査の結果を踏まえて,モニターツアーを実施しようと計画していた。しかし,新型コロナ感染拡大が懸念される中,先進地事例調査や東広島エコミュージアムでのモニターツアーはほぼ実施できなかった。 厳しい制約がある中で,本年度は,東広島エリアでのオオサンショウウオ調査を継続的に行ったほか,岡山県真庭市で取り組まれているバイオマス・ツアーの調査,日本エコミュージアム研究会のオンライン・フォーラムを通じた専門研究者等からの情報収集,前年度に作成したエコミュージアム・ツアーのプロモーションビデオを用いた広島大学学生へのアンケート調査などを行った。また,前年度の調査報告書の作成やその際に制作した東広島エコミュージアムマップの印刷,東広島エコミュージアムを紹介するプロモーションビデオの作成など,本年度のモニターツアーを含む本格調査の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度は対象とする東広島市での現地調査は予定以上に進んだものの,年が明けてから新型コロナウィルスの影響で予定した先進地調査が行えなくなった。本年度は前年度末の状況が年度を通じて維持されてしまったため,申請当初に想定した調査が行えなくなってしまった。そのため移動制約のかからない範囲での調査や,オンライン会議による情報収集,デジタル素材等を作成してそれを用いた調査の準備など,代替案での研究遂行となった。研究分担者はそれぞれ自らできる調査を行うにとどまり,共同での現地調査は行えなかった。メンバー間の議論もオンラインで行わざるをえず,本年度の本格調査に備えた準備に重きをおいた活動になってしまった。当初予定になかった調査を行ったり,調査のためのデジタル資料を作成したりと充実した部分はあったが,先進地調査やモニターツアーを実施できなかった点で「やや遅れている」という自己評価をしている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は本研究の最終年度にあたる。2年目の予定が少し狂ってしまったが,最終年度でうまくまとめることに努める。まずは,1年間のブランクが空いてしまったが,東広島エコミュージアムのモニターツアーを実施する。新型コロナウィルス感染拡大の騒動を経て変わってしまった状況がいろいろあるので,改めて地域の情報収集をやり直すことからはじめて,関係者等との調整を図り,夏以降にモニターツアーを実施する。本年度に実施した大学生を対象としたオンラインのアンケート調査についても同様に実施する。また,2年度に渡って延期してきた先進地事例調査も実施し,最終的な東広島エコミュージアムにおける「地域の自然・文化環境の保全を,域内の人的交流により進める「具体的な仕組み」を考案すること」に反映させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響で,予定していた先進地事例調査と東広島エコミュージアムのモニターツアー調査が実施できず,代替案での研究を行わざるをえなかったため,次年度使用額が生じている。次年度には,先送りにした先進地事例調査とモニターツアー調査を夏以降に実施することで使用する予定である。
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