| 研究課題/領域番号 |
19K01187
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| 研究機関 | 香川大学 |
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研究代表者 |
平 篤志 香川大学, 教育学部, 教授 (10253246)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | グローバルニッチ企業 / 中小企業 / 海外展開 / パイプライン / バズ / 経済地理学 |
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| 研究実績の概要 |
近年，中小企業でありながら世界市場で高い競争力をもつグローバルニッチ企業の存在が注目され，研究例も増加している。本研究は，地方に拠点をおくグローバルニッチ企業の展開とその海外ネットワーク拡大過程の特徴を，これまで十分に検討が行われてこなかった地理学的視点（企業活動と立地地域・取引地域との関係性）に立脚して明らかにすることを目的とする。経済学・経営学を中心とする先行研究は，企業自体の特徴に着目したものが多い。しかし，企業が活動を行うのは具体的な地域であり，地域内・地域間で取引企業や関係機関など様々な主体と関係を構築している。経済産業省が2015年に発表したグローバルニッチトップ企業100社と次点７社を合わせた107社の立地を見ると，企業数では順に東京都23社，大阪府18社，愛知県８社と大都市圏が上位を占めるが，大都市圏以外でも，石川県４社，福井県５社，北海道３社，徳島県３社とまとまった数を有する県が存在する。地域別で，四国は九州と並ぶ５社を有する（徳島県３社，香川県２社）。そこで，本研究は四国地方と北陸地方を比較対象地域の候補に選定し，研究を進める。
本研究の研究期間は2019年度から2021年度にかけての３年間である。2019年度は初年度に当たり，まず文献・統計資料をもとに，中小企業全般とグローバルニッチ企業の国内外の最新の動向把握に努めた。合わせて，イノベーションを目的とした香川県の有力中小企業の自主的な研究会に参加し，イノベーションを生みだすメカニズムについて洞察を深めた。また，近年中小企業の進出が進みつつあるアジアのインドネシアとインドにおいて予察的な現地調査を行った。具体的には，それぞれ首都のジャカルタとデリーを訪問し，JETRO事務所，日系企業団体事務所等において聞き取り調査を行った。結果，それぞれの国において今後も中小企業の進出が見込まれることが明らかとなった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は，地方に拠点をおくグローバルニッチ企業の展開とその海外ネットワーク拡大過程の特徴を，地理学的視点に立脚して明らかにすることを目的とする。初年度に当たる，本年度は，まず文献や統計資料を収集・分析し，中小企業全般とグローバルニッチ企業の展開の最新情報の把握に努めた。経済産業省が2015年に発表したグローバルニッチトップ企業100社と次点７社を合わせた107社の立地を見ると，企業数では順に東京都23社，大阪府18社，愛知県８社と大都市圏が上位を占めるが，大都市圏以外でも，石川県４社，福井県５社，北海道３社，徳島県３社とまとまった数を有する県が存在する。地域別で，四国は九州と並ぶ５社を有する（徳島県３社，香川県２社）。そこで本研究では，四国地方と北陸地方を事例地域とし，比較考察を行うこととした。合わせて，企業がグローバルニッチ企業へと飛躍するメカニズムを探るため，イノベーションを目的とした香川県の有力中小企業の自主的な研究会に参加した。本研究会では，半年ごとにイノベーションにつながる課題を設定し，その結果を互いに発表し合う仕掛けが当該企業のさらなるイノベーションにつながっていることが確認された。本年度は，さらに，近年中小企業の進出が進みつつあるアジアのインドネシアとインドにおいて予察的な現地調査を行った。具体的には，それぞれ首都のジャカルタとデリーを訪問し，JETRO事務所，現地日系企業団体事務所等において聞き取り調査と資料収集を行った。結果として，両国において，コスト削減のための生産基地としてだけでなく，巨大な人口の存在から将来の有望な市場として，様々な人的チャンネル（パイプライン）を活かして，今後も中小企業の進出が見込まれることが明らかとなった。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究の２年目に当たる2020年度は，まず事例地域の県庁，市役所，商工会議所等を訪問して，現地の中小企業全般と有力な中小企業に関する実地調査と一次資料の収集を行うとともに，複数の事例グローバルニッチ企業を訪問し，聞き取り調査を行う。具体的には，本社における聞き取り調査を通じて，経営内容（業務内容，本社機能，従業員構成，企業間取引，地域との関係など）とその課題について明らかにする。合わせて，中国および東南・南アジアにおける事例企業の海外ネットワークの拡大に関する実地調査を行う。そこでは，どのようなパイプラインを構築して取引先を開拓し，取引ネットワークを構築していったのか，そこにどのような空間的含意があるのかといった点に関して，取引先での聞き取り調査を実施する。合わせて，JETRO事務所や日系企業団体などを訪問し，進出日系中小企業の動向を把握する。
３年目に当たる2021年度は，２年目に引き続き，特に欧米地域における事例グローバルニッチ企業の海外ネットワーク拡大の特徴を，事例企業を訪問し，聞き取り調査によって明らかにする。合わせて，当該国（地域）のJETRO事務所や日系企業団体などを訪ね，進出日系中小企業の動向を把握する。最後に３年間の研究結果をとりまとめ，地方に拠点をおくグローバルニッチ企業のグローカルな展開モデルを，統計・地図ソフトを利用して構築する。最終的な研究結果は，国内外の学会で発表するとともに，論文の形にまとめ，国内外の学会誌に投稿する。合わせて，報告書の形にまとめ調査先に研究結果を還元する。
研究遂行中，予期しない事態によって，予定した調査の実施が困難になった場合は，調査地域・調査対象を変更するなどして柔軟に対応したい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
１つには，新型コロナウィルスの世界的な感染拡大により，３月下旬に参加を予定していた日本地理学会春季大会（東京・駒澤大学）が中止となったこと，もう１つは同じ理由により，２月以降国外・国内とも長距離の移動に関して制限がかかるようになり，予定していた現地調査に関して，短縮・中止を余儀なくなされたことによる。これらの未使用額については，新型コロナウイルスの感染拡大が終息次第，すみやかに調査を再開することによって使用したい。
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