研究期間を1年間延長したが、新型コロナウィルスの影響が完全には収まっていなかったため、海外調査を断念し、国内調査を充実させるとともに、研究の取りまとめに関する作業を実施した。 現地調査においては、国内の縁辺部で数カ所を訪問することができたので、資料収集とともに現地で重要な知見を得ることができた。公共交通機関では到達できない場所も多かったので、研究費を獲得していたことの有意性を十分に発揮できた。 研究の取りまとめ作業に関しては、環境地政学に関する調査結果を、地誌学の大学生向けテキストや、対象地域の研究をまとめた論文集へ分担執筆することができた。環境地理学的な研究内容を専門分野の共有知識として発表することができたことに加えて、研究成果による地域社会における環境活動にもむすびつけることができたと考えている。 2022年度からの高等学校における「地理総合」の開始とも連動して、地理教育分野における環境地政学的成果を研究実績として発表することもできた。高等学校において地理系の科目が必修となるのは約50年ぶりであり、日本史や世界史といった歴史系の科目と連動させるとともに、公民系の科目にもあるような環境問題の内容を、「地理総合」の教科書を紹介しつつ、環境地政学的な位置づけも主張することができた。 3年間での研究期間が、現地調査の困難さのため4年間となってしまったが、最後の1年間も研究費を有効に活用できた。研究成果を一般向けの公開講座に紹介できたことも本研究課題の成果である。
|