研究成果の学術的意義や社会的意義 |
まず『満鉄輸送史の研究』によって、これまでの「満鉄は鉄道の運営を第一の事業としていたにもかかわらず,戦後はそれに関する本格的研究が極端に少ない」(岡部牧夫編『南満洲鉄道会社の研究』日本経済評論社,2008年, 400頁)のような批判に対し、一定の成果をあげることができた。また、これまで帝国圏輸送は、観念論の域にとどまり、実際には日本列島周辺海域を挟んで分断し、植民地と内地とは切り離されて考えられてきた。その結果、1940年代の内地における資材供出目的の鉄軌道休廃止なども充分に資料的裏付けのないまま言及されてきた。本研究によってそうした研究史上の空白を埋めることができた。
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