研究課題/領域番号 |
19K01199
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松村 圭一郎 岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (40402747)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 経済人類学 / 移民 / 難民 / 人間の経済 / グローバル化 |
研究実績の概要 |
本研究は、エチオピアから中東やヨーロッパへの出稼ぎ民/難民の実証研究をとおして、グローバルな人の移動が急速に拡大し、市場の論理による経済システムが世界を覆うなかで、いかに「人間の経済」の領域が存立しうるのかという問いを考察する。 3年目にあたる2021年度も、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響があり、予定していた海外での現地調査が実施できなかった。そのため、経済人類学的な研究動向について情報を収集するとともに、関連文献の収集と読解、資料の整理を中心に研究を進めた。そのなかで「人間の経済」についての理論的考察を深めるために、複数の論文や書籍の分担執筆などを通してこれまでの研究成果を発表するとともに、国家という問いを考察する人類学の理論的な可能性を探究した単著を執筆し、2021年9月に刊行された。刊行後は、複数の雑誌や新聞などに取り上げられ、本研究課題とも関連するテーマが社会的にも関心を集めていることがわかった。 今後は、採択された国際共同研究加速基金(A)をもとに2023年にフランスを中心にヨーロッパでの調査研究活動を行う予定であり、遅れている現地調査を集中的に実施し、理論と実証研究との両立をはかりながら、研究の遅れを挽回する計画を立てている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響で海外渡航が制限されるなかで、2021年度中に予定していた現地調査を断念したため、研究計画に若干の遅れが生じている。渡航費のために用意していた経費は翌年度に繰越し、状況が改善したときに現地調査に着手するとともに、採択された国際共同研究加速基金も活用しながら、基課題である本研究の遂行を加速させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの影響で、渡航が困難な状況が継続しているため、2022年度は、これまでの現地調査で取得したインタビュー映像の編集を進め、今後の現地調査を集中的に実施するための具体的な準備を進める予定である。また、2020年度に申請した国際共同研究加速基金(A)が採択されたため、2023年には1年間の海外長期研修を取得して、フランスに渡航する準備を進めている。新型コロナウイルスの状況をみながら、ストラスブール大との共同研究を進め、計画していたヨーロッパでの現地調査を含め、本課題の研究を加速させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により海外での現地調査が実施できなかったため、現地調査のために残していた予算を使用することができなかった。今後、状況の推移をみながら、海外調査を実施すべく計画を立て直しており、国際共同研究加速基金(A)による国際共同研究を推進しながら、計画の着実な実施に努める予定である。
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