研究課題/領域番号 |
19K01215
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研究機関 | 総合地球環境学研究所 |
研究代表者 |
真貝 理香 総合地球環境学研究所, 研究部, 外来研究員 (30758818)
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研究分担者 |
竹川 大介 北九州市立大学, 文学部, 教授 (10285455)
甘 靖超 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (20789044)
スピーゲルバーグ マキシミリアン 総合地球環境学研究所, 研究部, 研究員 (30811301) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ニホンミツバチ / トウヨウミツバチ / 養蜂 / 伝統養蜂 / 養蜂史 / 映像 / ドメスティケーション |
研究実績の概要 |
本年度もフィールド調査や文献調査を継続し、アウトプットとしては①長野県伊那谷のニホンミツバチ伝統養蜂の映像が完成・公開できたこと、②「ミツバチサミット2023」シンポジウムでの研究発表が、大きな成果である。 1)映像作品:いわゆる「伝統養蜂」と称される養蜂も、時代経過と社会的・環境的変化に伴って、養蜂技術や、人とミツバチとの関係性にも変化が見られることは、各地の調査で判明したことの1つである。昨年度来、長野県伊那地方において、30年前にニホンミツバチ養蜂調査を行った高校教諭にも取材し、現在の養蜂と比較する映像制作を行っていたが、本年度、甘はさらに追加調査・撮影を行い、「ニホンミツバチとともに生きる 長野県伊那谷における伝統養蜂調査の30年」(33分)として公開した(2024/3)。本映像は経年変化を追った貴重なドキュメンタリーとなっており、2024年5月現在、約18,000回の視聴と151件の高評価ボタンが押されている。https://www.youtube.com/watch?v=-gHg179nJbY 2)ミツバチサミット2023:竹川は実行委員を務め、真貝はシンポジウム「トウヨウミツバチをめぐる文化誌:セイヨウミツバチ・トウヨウミツバチ・ヒトとの『マルチスピーシーズ』な関係」をオーガナイズ。また真貝・甘・竹川も、各自口頭発表を行った。 3)フィールド調査:真貝:和歌山県南部の調査(3回)。養蜂に加えて、狩猟や川釣りなど、他のマイナーサブシステンスとの比較、県内の図書館・資料館での文献調査。甘:長野県伊那谷地域の調査(5回)、別途、ニホンミツバチとの比較のため、クロスズメバチ(長野)・セイヨウミツバチ(大阪)の養蜂状況調査。竹川:奄美大島(1回)、比較調査として台湾のトウヨウミツバチ養蜂の聞き取り(2回)。また勤務大学キャンパス内では、ニホンミツバチの飼育も継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当研究課題は、当初4年間の実施計画であったが、コロナ禍のために、フィールド調査の遅れに伴う映像作成・調査まとめに遅れが生じた。養蜂の映像撮影は、分蜂(春の巣別れ)期や、採蜜期など、当該シーズンに訪問・取材をしないと撮影できないものも多いため、次年度、九州地方の映像作成の完成をめざす。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は課題最終年度となるため、研究成果のまとめ・アウトプットとして、下記に注力する。 1)論文の執筆・投稿。2)九州地方の伝統養蜂の映像作品作成。3)「ニホンミツバチとともに生きる 長野県伊那谷における伝統養蜂調査の30年」映像の「英語字幕版」作成。4)今まで作成した養蜂映像作品の現地での上映会。5)研究成果の全体をまとめた報告書の作成。 3)の英語字幕版を制作することは、現在、生物多様性や在来種保全の見地からも、世界的に在来種ミツバチの養蜂が注目されていることから、研究成果の海外発信に極めて有効である。 4)の上映会は、ニホンミツバチの飼育者のみならず、広く地元の方々に、地域の生業・文化的財産ともいえるニホンミツバチの養蜂・歴史を知ってもらう目的もあり、現地のステークホルダーとの連携、協業をめざす。 さらに研究成果の一部を、一般の方にも知ってもらうため、一般雑誌への寄稿も進んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度(2023)で課題は終了予定であったが、実施計画の遅れに伴い、延長申請を行った。 そのため、次年度の使用予定額が生じた。これは、次年度のフィールド調査および、映像作成のために使用する。
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