研究課題/領域番号 |
19K01218
|
研究機関 | 神奈川県立歴史博物館 |
研究代表者 |
新井 裕美 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (00636201)
|
研究分担者 |
羽毛田 智幸 神奈川大学, 理学部, その他 (50614616) [辞退]
三浦 麻緒 神奈川県立歴史博物館, 学芸部, 学芸員 (50817608)
瀬川 渉 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (90792804)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 職掌系湯立神楽 / 非職掌系湯立神楽 / 地域民俗文化財 |
研究実績の概要 |
現在でも旧相模国鎌倉郡・同国三浦郡・旧武蔵国久良岐郡・同国 橘樹郡地域や房総半島等では湯立神楽が盛んに奏される。これを大別すると鎌倉鶴岡八幡宮 に奉仕していた職掌家に依る「職掌系湯立神楽」と職掌家に依らない「非職掌系湯立神楽」 があり、後者の発生は前者の伝播に因るとされてきた。そのため従来の研究では、専ら前者に関心が払われていたために後者の実態は等閑視され、地域毎の湯立神楽の類似・相違点、関係性は未詳であった。 そこで本研究は、両者の祈願内容・演目・所作・神楽場の設え・催行する組織等の項目で両者の比較研究を行い、「非職掌湯立神楽」の現行を考察した。初年度は、神奈川県内で実施の「職掌系湯立神楽」と「非職掌系湯立神楽」を計画的に調査研究をすることができた。現在はまだ調査途中であるが、従来は等閑視されていた「非職掌系湯立神楽」の詳細について考察することができた。具体的には、「非職掌系湯立神楽」の調査によって、神楽奏者の体の動き、使用される楽器、座の内容や順序、湯立神楽にまつわる俗信などを調査から得ることができ、「職掌系湯立神楽」とは異なる湯立神楽であることがわかった。 また、神奈川県以外にも近県では東京都や千葉県でも湯立を実施しており、本県との類似性や相違点等を調査した。特に千葉県では三浦半島と地理的に近いため、本県との類似性が予想されたがその実態は「職掌系湯立神楽」・「非職掌系湯立神楽」とは共に異なるものであることがわかった。 今後は初年度で得た調査記録の蓄積を元に、「非職掌系湯立神楽」の歴史性や「非職掌系湯立神楽」どおしの関係性にも迫っていきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度は計画通りに祭礼を調査・記録し、関係者に聞き書きをすることが出来た。しかしながら、今年度は新型コロナウィルス蔓延の影響のため、各地域の祭礼が中止になっており、調査をすることが出来ない。また、関係者への聞き書き調査も密になる恐れが高く、濃厚接触に当たるために自粛している状況である。今年度後半の祭礼は実施が未定の場合が多く、今後の計画を立てることが出来ない。隔月で実施していた研究会も開催できていない。加えて、大学図書館等が閉鎖されているため文献調査も行うことができない。 このように今年度の調査研究は全く停滞しているといってよい状態である。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の推進は、新型コロナウィルス蔓延の終息に尽きるといってよい。この終息によって各地の祭礼が実施され、関係者に充実した聞き書きをすることができる。また、大学図書館等が開館となれば、祭礼の歴史性にも迫ることができると考えている。終息状態となったら、調査研究を再開させたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度に計画していた調査はおおむね実施することができたが、調査に参加した人数が予定よりも少ない場合があり、旅費に差が生じた。このため次年度は、調査人数をなるべく二人以上にしてより充実した調査を実施したい。 また、資料整理員の雇用を計画していたが適任者が見つからずに採用を見送った経緯があった。資料整理員にこれまで得られたデータや画像の記録整理を依頼して、より円滑な調査につなげたい。
|