2022年度は、フランスとインドネシアでフィールドワークを再開し、日本では引き続き、災害時の被災者管理に関する調査を完了した。フランスでは、2003年の熱波の犠牲者の遺体処理に関する資料を、国立公文書館、パリ公文書館、遺体処理を担当した警察県で収集・参照した。また、パリの墓地では熱波の犠牲者の墓の調査が完了した。また、フランスにおける集団墓地や災害慰霊の歴史的展開を把握するため、Reims地方の墓地や第一次世界大戦の博物館での比較調査も実施した。インドネシアでは、Acehでフィルド調査を行い、2004年の津波による集団墓地について独自の調査を実施した。シア・クアラ大学のアルフィ・ラーマン教授とともに、これまで記録されておらず、地元住民に忘れ去られていた、あるいは知られていなかった新しい集団墓地を発見した。このの発見は、2004年津波犠牲者の集団墓地が非公式なものであり、規制がないことを証明するものである。さらに、遺体回収に貢献した対応チーム(アチェ捜索救助隊、国際赤十字など)へのインタビューを実施し、彼らの経験や直面した問題を理解した。最後に、日本学術振興会特別研究員でフランスのエクス・マルセイユ大学の博士課程に在籍するソラ・ドゥリー氏と共同で、2011年の災害の犠牲者の遺体や遺骨を扱う警察官、葬儀屋、宗教指導者へのインタビューをさらに実施した。また、福島を含むさまざまな追悼式や追悼モニュメントを記録し、データベースに追加した。フランス、インドネシア、日本で収集したデータを分析しつつ、その結果を多くの国際ワークショップ、地域会議、その他の公的会合で発表している。最後に、単著・共著の出版物を通じて、英語と日本語で成果物の発表を開始した。これらの知見が、南海トラフ地震をはじめとする日本の、そして世界的な大量死イベントに対する認識を高め、その準備に役立つことを期待している。
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