2023年度内は、沖縄県北谷町における基地返還地内に存在していた北谷城の返還地の祭祀し現状を北谷町教育委員会と連携して、撮影を実施た。同時に北谷城内にある聖地(ノロ祭祀場・火の神等)を祈願してきた、北谷ノロの継承家への調査を実施すると共に、同城内の祈願・年中行事を現在実施している郷友会組織について調査を実施した。北谷ノロの関わる聖地は、同城内への祈願と、現在なお米軍基地内にある「長老山」と呼ばれる旧字の合祀所であった。これらの調査資料・分析により過去と、現在の共同体の有り様が比較可能となった。 沖縄県本島中部地域(読谷村・北谷町・嘉手納町)の米軍基地内に存在する聖地(拝所・井戸の神・川の神・墓)の保存状態の現地調査を実施した。また、その聖地の運営を行う各自治会のインタビュー調査を実施した。また自治会が存在しない場合は、元々の住人により構成された「郷友会」への調査を実施した。これらの調査を通うじて分析可能となった事は次の通りである。米軍基地内に存在する聖地の運営は、元住民の保持する軍用地主料に多く依存している。そのため、ノロ祭祀や、火の神への祈願も現在の自治会が得る公共的軍用地主経費からである。北谷町の場合、基地内の元集落は全て戦後、強制移転したため、分散居住する「郷友会」が存在し、基地内にある聖地への祭祀は郷友会により運営されている。本研究では、基地内より返還された北谷城に着目し、その民俗学的・人類学的復元を図った。
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