研究課題/領域番号 |
19K01233
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研究機関 | 東京有明医療大学 |
研究代表者 |
高梨 知揚 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (10563413)
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研究分担者 |
矢嶌 裕義 東京有明医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00563412)
高山 美歩 東京有明医療大学, 保健医療学部, 講師 (20563414)
高倉 伸有 東京有明医療大学, 保健医療学部, 教授 (60563400)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肩こり / Neck Pain / 病い / 比較文化 / 医療人類学 |
研究実績の概要 |
本研究では、医療人類学的な観点から「肩こり」を一つの「病い」として捉えながら日本の肩こり患者の主観的経験の詳細を明らかにするとともに、日本の「肩こり」と米国の「neck pain」に対する認識の比較を通じて、これらの共通概念を探索することを目的としている。今年度(2019年度)は、日本の「肩こり」と米国の「neck pain」の比較検討に先立ち、前提となる「肩こり」の定義を患者の主観的経験からボトムアップで構築するべく、「肩こり」を有する患者を対象に「肩こり」に関する聞き取り調査を実施した。調査に先立ち、先行研究の知見を踏まえて共同研究者間でインタビュー項目を作成した。調査対象者は東京有明医療大学付属鍼灸センターに来療しており、3ヶ月以上持続する肩こりを有する10歳代から70歳代の患者とした。調査協力の得られた対象者には一対一の対面での半構造化面接を行った。予め作成したインタビュー項目をもとに、対象者には個々がそれまで自覚してきた「肩こり」の経緯、インタビュー時に自覚していた「肩こり」の詳細、また日本人が一般的に抱いている「肩こり」のイメージを検討するべく「肩こり」のイメージについて尋ねた。初年度は41名の対象者の聞き取り調査を終了した。同調査においては、肩こりの性状や部位についても多様に経験されていることが明らかになり、量的な調査では明らかになりにくかった、対象者それぞれの人生における縦断的な「肩こり」の変遷のバリエーションが明らかになるとともに、ライフステージごとの「肩こり」の特徴が垣間見える結果が得られ今後の「neck pain」との比較研究を行う上で重要な知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の研究計画は、日本人の「肩こり」を有する患者を対象とした聞き取り調査及びそのデータ分析を行うことであった。初年度は41名の聞き取り調査が終了した。概ね必要なデータは得られたものの、対象者の年代に偏りがあったため、対象者が少なかった年代を対象に追加で聞き取り調査を実施する予定であった。しかし、年度末にかけて蔓延した新型コロナウィルス感染症により、本学鍼灸センター来院患者が減少して新規の対象者のリクルートが困難となったこと、また感染を考慮して対面での聞き取り調査の実施自体を自粛したこともあり、追加の聞き取り調査については実施できていない状況にある。そのため詳細なデータ分析も年度末の段階では完遂できていない。今後も感染状況を鑑みながら聞き取り調査を継続する予定ではあるが、状況によってはウェブ、ないし電話による聞き取りに切り替えるなど、代替案を検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(2020年度)前半は、まず前年度に実施できなかった追加の聞き取り調査を実施する予定である。ただし、新型コロナウィルス感染症の影響により、対面での聞き取り調査が困難な状況となっているため、ウェブ、ないし電話での聞き取り調査に変更することを余儀なくされることもある。具体的な実施方法については共同研究者間で年度初頭に検討し、速やかに調査を実施する。追加での聞き取り調査を追えた後は、聞き取り調査全体のデータの分析を行い、同調査の知見をもとに日本の都市部でのアンケート調査を実施するための調査用紙を作成する。今年度の後半には、外部調査会社に依頼して、日本の都市部の肩こりを有する人を対象にウェブでのアンケート調査を実施し、データの解析までを行う。また、米国の研究協力者とともに、次年度(2021年度)に実施する米国でのアンケート用紙の英語版を作成する予定である。当初より計画していた研究計画に関して、今年度以降の内容について現段階で大きな変更はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で、当該年度末未実施となった聞き取り調査分の費用が次年度使用額となっている。同費用については、未実施だった聞き取り調査を引き続き次年度に実施の際に使用する。
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