本研究の目的は、インドの過去70年余りにおける親密圏の変容を明らかにすることにあった。特に1947年から1990年までのポストコロニアル期から1991年の経済自由化以降のグローバル期への時代的変化に着目し、女性をめぐる親密ネットワークがいかに社会経済的動態に適応してきたか、そのなかで恋愛・婚姻・家族をめぐる情動と経験はいかに変容してきたかを検証しようと試みた。本研究は、女性の行為主体性に着目し、変化する時代を生きる人びとが、モビリティを広げつつ、必要なケアと相互扶助の関係を確保するために、親密圏を創造的に再編してきた過程を描写するとともに、親密性をめぐる情動と経験の変遷を分析することを試みた。
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