• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

アジア太平洋地域の国際養子縁組法制の比較分析に基づく政策提言-ジェンダー視点から

研究課題

研究課題/領域番号 19K01243
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

清末 愛砂  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00432427)

研究分担者 立石 直子  岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (00369612)
大川 謙蔵  摂南大学, 法学部, 准教授 (40582771)
伊藤 弘子  名古屋大学, 法学研究科, 学術研究員 (90340364)
梅澤 彩  熊本大学, 熊本創生推進機構, 准教授 (90454347)
李 妍淑  北海道大学, アイヌ・先住民研究センター, 博士研究員 (90635129)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード国際養子縁組法制 / ジェンダー / アジア太平洋地域
研究実績の概要

本研究は、アジア太平洋諸国(日本、タイ、韓国、フィリピン、ハワイ州、ニュージーランド)の国際養子法制(家族法、国際私法、子どもの保護法制、出入国管理法制、国籍法、国際養子縁組にかかる他国間協定、貧困女性のための社会福祉制度等)を比較検討し、「子の最善の利益」に適う日本の国際養子縁組制度の整備・構築に向けた政策提言を行うことを目的としている。
日常の研究活動は、調査対象国別につくっている研究グループ(6グループ)内で各国の国際養子縁組の背景や現況、関連法制の内容、改正の動き、実務状況等にかかる文献調査・現地調査を行う形で進めている。研究分担者および研究代表者はそれぞれ1つまたは2つのグループに配属されている。そこでの研究の進捗状況を全体研究会で報告し、全員で共有すると同時に、さらに調査・検討すべき点を議論することで各研究グループの課題を見出している。
2019年度は対面式での全体研究会(大阪)を1回、オンライン形式の全体研究会を複数回実施した。その際に各研究グループの進捗状況の共有と課題の検討に加え、2019年度中の実施を計画してきたタイおよび韓国でのフィールドワークでの訪問先、インタビュー項目、日程等を議論した。
2020年1月にタイでフィールドワークを実施し、チュラロンコーン大学等で国際養子縁組法制や家族法に詳しい研究者へのインタビュー調査をしたほか、国際養子縁組に取り組んできた団体を訪問し、インタビュー調査を行うことができた。韓国でのフィールドワークについては、実施期間を決め、選定した調査先とアポイントメントをとっている段階で新型コロナウイルス感染問題が深刻化したため、訪問をキャンセルせざるを得なくなった。また、同様の理由から日本でのフィールドワークに向けた対面式の研究グループ会議もキャンセルせざるを得なくなった。情勢次第ではあるが、次年度以降に実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

各研究グループ内での文献調査、および全体研究会はほぼ予定通りに実施できた。例えば、日本グループでは、日本の養子縁組制度、生殖補助医療による親子関係、特別養子縁組に関する現行制度等に関する検討を行った。それらの結果の多くはすでに逐条解説・判例解説および書籍(共著)として公刊済みである。
タイグループでは、タイの養子縁組法を翻訳しながら法制度全体を把握してきたほか、現地でのフィールドワーク(聞き取り調査)を実施することができた。
韓国グループでは、日本と韓国の国際養子縁組の実態(斡旋団体を含む)および子を産む性をもつ女性の置かれる社会的状況、国際養子縁組や社会福祉に関連する法政策(ハーグ養子条約を含む)、国際養子縁組関係の紛争処理における裁判所の対応に関する文献調査を行った。
しかし、新型コロナウイルス感染問題の深刻化により、韓国でのフィールドワークや日本でのフィールドワークに向けた対面式の研究グループ会議を次年度以降に延期せざるを得なくなったほか、関連する国内での研究会等に出席できなくなったため、それらの点については。当初の研究計画から遅れをとることになった。ただし、新型コロナウイルス感染問題は日本や韓国を含むグローバルな問題であり、身の安全の観点から合理的に考えてもその実施は不可能であったと判断できることから、延期自体がやむを得ないものであったと判断している。

今後の研究の推進方策

下記のように研究グループ内での文献研究を継続させながら、オンラインまたは対面式の全体研究会を実施していく。新型コロナウイルス感染問題の動向に鑑みながらも、韓国・フィリピン・ハワイおよび日本でのフィールドワークの実施計画を検討する。また、関連研究会にも出席し、知見を深める。
タイグループでは、タイの国際養子縁組の統計調査および国際養子縁組がなされた後の現状調査等を実施する予定である。日本グループでは、日本の養子縁組制度、とりわけ昨年に法改正がなされ、2020年4月より施行されている特別養子縁組制度の運用状況について調査研究を行う予定である。ニュージーランドグループでは、ニュージーランドの養子縁組制度の現況(法制度の運用実態)についての調査研究を行う予定である。フィリピングループでは、フィリピンの養子縁組法および所轄官庁・組織に関する調査、フィリピンにおける所轄官庁・組織・養子あっせん団体その他の専門家への聴き取り調査を実施する予定である。韓国グループでは、韓国の国際養子縁組に関連するNGO、家庭裁判所、政府の児童福祉機関、研究者、弁護士等への聞き取り調査を実施する予定である。
また、2019年度の研究結果をできるだけ早期にまとめて所属学会の大会や所属研究会等で報告できるようにする。ただし、所属学会の大会等が開催されるかどうかも新型コロナウイルスの感染拡大状況によるため、それが難しい場合には、本研究課題主催のオンラインでの公開研究会の開催の可能性等を追求する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大問題の発生にともない、海外でのフィールドワークや日本での対面式の会議の一部を中止し、次年度以降に延期せざるを得なくなったこと、また出席予定であった関連研究会が中止になったことから、次年度使用額(主には旅費)が生じた。
新型コロナウイルス感染拡大の状況によるが、本研究開始当初から2年目に実施予定であった計画内容に加え、中止・延期になったフィールドワークおよび会議、その他の関連研究会への出席・報告を次年度に実施できるように進めていく。

  • 研究成果

    (26件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (12件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 5件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] ジェンダー視点から問い直すべき<平和>のつくりかた-家父長的メンタリティの克服を求めて-2020

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      平和運動

      巻: 587 ページ: 7-13

  • [雑誌論文] 中国家族法(13・完)2020

    • 著者名/発表者名
      李妍淑(伊藤弘子監修)
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 793 ページ: 13-19

  • [雑誌論文] 中国家族法(12)2020

    • 著者名/発表者名
      李妍淑(伊藤弘子監修)
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 792 ページ: 2-9

  • [雑誌論文] 中国家族法(11)2020

    • 著者名/発表者名
      李妍淑(伊藤弘子監修)
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 791 ページ: 4-8

  • [雑誌論文] シンガポールの児童虐待法制の考察 : 専門家の活用によるケアの拡充2019

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      国際公共政策研究

      巻: 24巻1号 ページ: 29-36

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 日本国憲法の原理をおびやかす家庭教育支援法案-個人の尊重と尊厳はなぜ重要なのか?2019

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      月刊社会教育

      巻: 761 ページ: 3-10

  • [雑誌論文] ジェンダー視点から考察するシンガポール家族法-求められる女性の社会進出と性別役割分担のゆくえ2019

    • 著者名/発表者名
      清末愛砂
    • 雑誌名

      アジア法研究2018

      巻: 12 ページ: 91-101

  • [雑誌論文] 南アジア家族法におけるジェンダーに関する国際シンポジウムおよびセミナー2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤弘子監修 外国身分関係法制研究会
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 782 ページ: 30-41

  • [雑誌論文] 日本における養育費履行システムとその可能性―ニュージーランドにおける養育費制度を参考に―2019

    • 著者名/発表者名
      梅澤彩
    • 雑誌名

      社会保障研究

      巻: 4巻1号 ページ: 79-91

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 面会交流における『子の福祉』の保障 : ニュージーランドにおける面会交流を示唆として2019

    • 著者名/発表者名
      梅澤彩
    • 雑誌名

      国際公共政策研究

      巻: 24巻1号 ページ: 37-48

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 中国家族法(10)2019

    • 著者名/発表者名
      李妍淑(伊藤弘子監修)
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 790 ページ: 17-22

  • [雑誌論文] 渉外家事事件判例評釈77 フィリピン人と婚姻中のフィリピン人女性から出生した子に対する日本人実父に対する認知請求2019

    • 著者名/発表者名
      望月彬史
    • 雑誌名

      戸籍時報

      巻: 784 ページ: 40-48

  • [学会発表] The Activities and Experiences of Masakaane, Hokkaido: Focusing on the Aged Survivors and Step house2019

    • 著者名/発表者名
      Satoko Ishii & Aisa Kiyosue
    • 学会等名
      The 4th World Shelter Conference, Global Network of Women's Shelters
    • 国際学会
  • [学会発表] 性的マイノリティが子の育みに関わること― 法的な視点から2019

    • 著者名/発表者名
      立石直子
    • 学会等名
      石川県立看護大学公開シンポジウム「性の多様性と家庭養護‐子ども、地域、行政をつなぐ‐」
    • 招待講演
  • [学会発表] 国家改造と家族 ―1990 年代から現在までの家族をめぐる動向を踏まえて2019

    • 著者名/発表者名
      立石直子
    • 学会等名
      民主主義科学者協会 2019年学術総会
    • 招待講演
  • [学会発表] 家族間の暴力と保護の在り方を考える-子の福祉を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      梅澤彩
    • 学会等名
      放送大学熊本学習センター2019年度第2回公開講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 同性カップルの家族形成に関する法的諸問題-ニュージーランドの経験から-2019

    • 著者名/発表者名
      梅澤彩
    • 学会等名
      津田助産院「2019年第3回LGBT研修会 in 大阪」
    • 招待講演
  • [学会発表] DV事案におけるソーシャルワーク――台湾の事例を中心に2019

    • 著者名/発表者名
      李妍淑
    • 学会等名
      日本司法福祉学会第20回全国大会、ワークショップ「ソーシャルワーク機能の再検討及び当事者支援の在り方――DV事案における当事者支援を参考に」
  • [学会発表] 外国人事件における注意点―家事事件の基本的な考え方と県西地区で生じ得る?事例の検討-(フィリピン、ブラジル+刑事事件での在留資格に関する留意点)2019

    • 著者名/発表者名
      望月彬史
    • 学会等名
      神奈川県弁護士会県西支部外国人事件研修会
    • 招待講演
  • [図書] 入門 憲法学: 憲法原理から日本社会を考える2020

    • 著者名/発表者名
      木藤伸一朗 (編集)、倉田原志 (編集)、奥野恒久 (編集)、中島茂樹、出原政雄、植松健一、濵口晶子、福山和人、立石直子、糸瀬美保、坂田 隆介、大河原壽貴、岩佐英夫、寺川史朗、毛利崇、丹羽徹、奥村一彦、小松浩、石塚武志、倉田玲、多田一路、上田勝美
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      法律文化社
  • [図書] 日本の法 第2版2020

    • 著者名/発表者名
      緒方圭子(編)、豊島明子(編)、長谷河亜希子(編)、吉田克己、大河内美紀、山田希、大坂恵理、安達光治、豊崎七絵、高田清恵、中坂恵美子、飯井孝行、水林彪
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 養子制度の国際比較2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木博人編著、梅澤彩ほか著
    • 総ページ数
      472
    • 出版者
      明石書店
  • [図書] 逐条ガイド親族法―民法725条~881条―2020

    • 著者名/発表者名
      本山敦編著・梅澤彩ほか著
    • 総ページ数
      480
    • 出版者
      日本加除出版
  • [図書] ~もし関係者の中に外国人がいたら~そんなときどうする法律相談Q&A2020

    • 著者名/発表者名
      広島弁護士実務研究会編著、望月彬史ほか著
    • 総ページ数
      208
    • 出版者
      第一法規
  • [図書] 安倍改憲・壊憲総批判 憲法研究者は訴える2019

    • 著者名/発表者名
      稲正樹(編集代表)、根森健(編集代表)、鈴木眞澄、藤井正希、村田尚紀、成嶋隆、植野妙実子、井口秀作、石村修、小林武、笹沼弘志、飯島滋明(編集代表)、長峯信彦、麻生多聞、清末愛砂
    • 総ページ数
      304
    • 出版者
      八月書館
  • [図書] ジェンダー法学入門(第3版)2019

    • 著者名/発表者名
      三成美保、笹沼朋子、立石直子、谷田川知恵
    • 総ページ数
      312
    • 出版者
      法律文化社

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi