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2023 年度 実施状況報告書

法的概念としての「人間の尊厳」の理解と定着のために――法哲学的観点からの基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01253
研究機関南山大学

研究代表者

服部 寛  南山大学, 法学部, 教授 (30610175)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2025-03-31
キーワード法哲学 / 人間の尊厳 / 尊厳 / 人権 / 天皇 / 国体 / 生ける憲法
研究実績の概要

2023年度も、前年度に引き続いて、文献や資料の収集と整理に従事しており、特に、戦前~戦時また戦後直後の日本の法秩序における「尊厳」の担い手とその内実について、法哲学者や憲法学者の見解を中心に、慎重な分析を行なった。とりわけ、宮沢俊義や清宮四郎といった戦後をリードしていく憲法学者の見解についての検討に力を入れたほか、日本国憲法制定過程における尊厳概念の動向についても注視した。これら自体については、本研究が採る「尊厳」概念の観点からのものではないとはいえ、すでにかなりの先行研究の蓄積があり、その整理や検討にあたり慎重の上に慎重を期しているため、論文の形でまとめるにあたっても、想定よりも多くの時間を要してしまっている。ドイツの戦前から今日に至るまでの尊厳概念をめぐる動向などについても、適宜目配せをしており、これらにも論及する形での論文を仕上げるために時間と労力が思いのほかかかってしまった。《不文憲法としての国体》および日本における「生ける憲法」概念の内実の変化など、法哲学や憲法学を中心に、これまでの基本概念や基本的な見方の見直しにもつながり得るであろう諸点について、検討を重ねてきている。また、本研究の(人間の)尊厳概念の理解の基礎となる、Dietmar von der Pfordten氏の『人間の尊厳』の翻訳作業についても、引き続き従事している。そのほか、今日の日本法における尊厳概念の位置づけについて、近年の様々な法的問題や注目されている訴訟などの分析にも取り組み、特に日本国憲法第24条第2項にある「個人の尊厳」概念が関連する諸問題について、学説・判例の動向を注意深く見ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

「研究実績の概要」欄に記載のとおり、これまでの検討を深化させてきてはいるものの、考察の対象について、法哲学・憲法学のメインストリームと対峙するような理解に到達しかねず、先行文献の渉猟に多くの時間とエネルギーを浪費せざるを得ない状況に陥ってしまった。ただ、研究の方向性については、これまで進んできたものでよいということを確信するところまで行き着いてもいる。補助事業期間の再々延長をすることが可能ということで、2024年度こそ、論文の公表と翻訳書の公刊など、アウトプットに取り組みたい。

今後の研究の推進方策

補助事業期間について再々延長を認めてもらうことができ、2024年度は、翻訳書の公刊に目処をつけることと、論文執筆・公表を2つの軸として、これまでの蓄積のアウトプットに力を費やすことにしたい。また、円安などの状況から、国外での資料収集についてはかなり難しくなってしまったが、国内の図書館や資料館での文献・資料収集に努めることにしたい。

次年度使用額が生じた理由

記録的な円安もあって、国外での資料収集の機会については、予算の残額につき、使用を抑制的にしていたものの、かなり厳しいものとなってしまったが、2024年度においては、これまでの計画にかかわる文献類の収集に力を注ぐことにしたい。国内の資料収集については、複数の図書館などを訪問することを計画している。

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公開日: 2024-12-25  

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