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2019 年度 実施状況報告書

團藤重光日記の分析と翻刻ー最高裁研究と法思想研究を軸として

研究課題

研究課題/領域番号 19K01255
研究機関龍谷大学

研究代表者

福島 至  龍谷大学, 法学部, 教授 (30208938)

研究分担者 畠山 亮  龍谷大学, 法学部, 教授 (20411283)
斎藤 司  龍谷大学, 法学部, 教授 (20432784)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード團藤重光 / 最高裁判所 / 法思想 / 團藤日記
研究実績の概要

龍谷大学矯正・保護総合センター所蔵の團藤文庫内にある團藤重光の日記(以下「團藤日記」という。)を研究資料とし、その分析を二つの研究関心(最高裁評議過程と團藤の法思想形成過程)から行うことが、本研究の目的である。この研究関心に基づいた分析と並行して、最高裁判事時代の團藤日記を翻刻することも課題としている。
團藤日記の翻刻を課題とする全体研究会においては、翻刻の準備作業として、最高裁判事時代の日記を画像としてデジタル化することなどを行い、そのデータを共同研究メンバー全員に配布するところまで完了した。それを踏まえて、分担に基づき、各自が日記を読み込み、その内容をテキスト化する作業に取りかかっている。
他方で、二つの研究関心に基づいて、共同研究プロジェクト内には、研究計画で示した通り、最高裁研究ユニットと法思想研究ユニットを設けた。共同研究メンバーはいずれかに参画しているが、まずそれぞれの研究関心に沿ってテーマを選択し、團藤文庫内の関連資料を用いて、研究を遂行している。最高裁研究ユニットにおいては、團藤文庫内の最高裁事件記録を用いて、個別事件の審理過程においてどのような意見形成がなされているかを分析している、他方、法思想研究ユニットにおいては、團藤の学生時代の講義ノートや戦中・戦後の各種立法資料な土を用いて、法思想がどのように形成されてきたのかを分析している。それら研究のこれまでの成果は、とりあえず福島至編著『團藤重光研究 法思想・立法論、最高裁判事時代』(日本評論社、2020年2月)として刊行した。本書には、13人の共同研究メンバーの論文が掲載されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

日記の翻刻作業を課題とする全体研究会においては、当初の予定通り、デジタル化した日記データをブルー・レイ・ディスクとして各自に配布し、翻刻の準備作業が終了した。翻刻の平準化作業も進んでおり、本年度後半からは日記本文のテキスト化作業が開始された。また、翻刻作業にあたっては、團藤の家族や親交のあった知人・友人に関する関連情報を押さえておく必要があることから、我妻榮東大名誉教授に関する調査出張(我妻榮記念館や山形県立図書館など)や若林家住宅(團藤夫人の疎開先、新潟県村上市)への調査出張も行うことができた。
最高裁研究ユニットにおいては、最高裁事件記録を用いて、パイロット的に個別の評議過程の研究を遂行した。5人の共同研究メンバーにより、憲法判例事件(1件)や刑法判例事件(2件)、刑事訴訟法判例事件(1件)、少年法判例事件(1件)の具体的検討を行い、その成果は『團藤重光研究』に掲載して、刊行物として社会にその成果を公表した。
法思想研究ユニットにおいては、團藤の東京帝国大学学生時代からの資料を用いて、パイロット的に思想形成の過程についての個別研究を遂行した。8人の共同研究メンバーにより、学生時代の受講ノートに関する研究(1件)、第2次世界大戦期における資料を用いた研究(3件)、刑法や刑事訴訟法改正立法を用いた研究(2件)、刑法理論に関する資料を用いた研究(1件)、明治期の資料を用いた研究(1件)の具体的検討を行い、その成果は『團藤重光研究』に掲載して、刊行物として社会にその成果を公表した。

今後の研究の推進方策

日記の翻刻作業を課題とする全体研究会においては、当初の計画通りに、翻刻作業を本格化する。割り当てに基づいた日記担当部分について、担当者各自から第1次テキスト化原稿につき順次報告を受け、全体で検討を加えていく。この作業にあたっては、翻刻の平準化作業(用語や理解の統一、人物やその周辺情報の確定など)も並行して遂行する。本年度中に、最高裁判事時代に執筆された日記について、第1次テキスト化原稿の完成を目指す。
最高裁研究ユニットにおいては、引き続き最高裁事件記録が50件ほどあるので、個別の評議過程の研究を遂行していく。また、日記の翻刻が進行しているので、そこで得られた新たな知見を、事件記録から窺われる評議過程の知見とクロスさせて、分析、検討を進めて行く。
法思想研究ユニットにおいては、とくに死刑廃止論がいつころから團藤の中で明確になっていったのかとの問題関心の下で、日記翻刻作業の遂行に伴い明らかになる事実から、研究を遂行して行くことにする。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、しばらくは実際に全体が集合して行う研究会は実施できない事態が予想される。これについては、日記の翻刻作業はオンライン会議システムを用いることによって、当面は支障なく実施することが可能であるので、そのような形で対応して行く。日記翻刻平準化作業のため調査に出張することが必要であるが、これについては感染症拡大が収まるまでしばらく延期することで対応して行く。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症拡大により、予定していた研究会や調査のための出張が取りやめざるを得なくなり、次年度に繰り越すこととなった。感染症拡大状況が収まり次第、翌年度において集中的に研究会ならびに調査を実行する。

備考

團藤文庫内の貴重資料の一部をデジタル化し、web上で一般の利用に供している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 團藤重光と破壊活動防止法:所蔵史料の紹介と解説2019

    • 著者名/発表者名
      太田宗志
    • 雑誌名

      龍谷大学社会科学研究年報

      巻: 49 ページ: 183 193

  • [図書] 團藤重光研究2020

    • 著者名/発表者名
      福島 至
    • 総ページ数
      344
    • 出版者
      日本評論社
    • ISBN
      9784535524712
  • [備考] 龍谷大学矯正・保護総合センター団藤文庫アーカイブズ

    • URL

      https://rcrc.ryukoku.ac.jp/docdata/archives.html

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公開日: 2021-01-27  

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