研究課題/領域番号 |
19K01258
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯田 高 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (70345247)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 社会規範 / 市場 / ルール / 法社会学 / 系統学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)系統学の手法を援用しながら市場におけるルールの変遷過程を解明し、(2)その背景となっている要因を探究することにある。市場取引を規制するルールの普及・変容・消滅の要因を記述的に明らかにすることによって、望ましい市場ルールをめぐる議論の基盤を整えたいと考えている。 1年目にあたる2019年度は研究の助走期間として位置づけており、市場における諸ルールに関する基礎資料を国内外から集めて整理することが主たる目標であった。 市場のルールに関連する国内の歴史的資料は2019年度中に相当程度集めることができ、その他の付随的な資料についても2019年度の後半に収集を進めた(海外の証券市場や労働市場に関する一次資料は、2020年度にも引き続き収集している)。それに加えて、近世の国内市場や現代のデジタル市場に関する資料の一部をもとに、「発展段階にある市場のガバナンス」をテーマとする論文を2019年秋から2020年春にかけて執筆した。この論文は2020年度中に公表できる見込みである(なお、この論文の執筆にあたっては日本銀行金融研究所の協力も得た)。また、本研究の基礎になっている若手研究(B)「法および社会規範の系統学研究」(課題番号:16K16972、2016~2018年度)で得られた成果の取りまとめも行った。 資料収集と並行して、2020年度に実施する調査の構想を練っている。インターネットを通じた調査や実地調査を数回行い、これによってルールの変遷を跡付けるデータを集める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内の市場の発展過程に関する資料やデータは順調に収集できており、一定の成果も出ている。海外の資料は引き続き収集・整理中だが、大きな遅れはない。
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今後の研究の推進方策 |
当初、2020年度中にインターネット調査と実地調査を数度にわたって実施する予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により実地調査が困難になる可能性が高いため、インターネット調査の比重を大きくすることを検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2~3月にかけて予定していた実地調査が中止となったため。2020年秋ごろに使用することを検討しているが、感染症の蔓延で実地調査が不可能になった場合は、インターネット調査の拡充のための経費に回す予定である。
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