研究課題/領域番号 |
19K01266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 青森中央学院大学 |
研究代表者 |
椎名 智彦 青森中央学院大学, 経営法学部, 准教授 (00438441)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 米国公法の継受 / プロセス法学 / 制度間対話 / 行政国家 / 民主主義 |
研究成果の概要 |
現代米国では,重要な争点が選挙や裁判を繰り返しながら長期的に議論され,やがて国民の間に一定の合意が形成される。この現象は,「制度間対話を通じた憲法規範の定着」と呼ばれる。本研究では,この社会的ダイナミズムを支える法学的基礎としてのプロセス法学について,その現代的展開および日本憲法学への影響などを明らかにした。制度間対話は,議会や裁判所といった法形成機関がもつ一定の客観的構造に依存する。議会でいえば定期的選挙や多数決主義等が,裁判所でいえば訴訟構造や既判力等がそれに該る。これらの客観的構造は,道徳的価値からは相対的に独立しているため,統治への国民参加を容易にする半面,紛争の長期化を助長する。
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自由記述の分野 |
米国法思想
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本が米国から継受した三権分立型の統治制度は,国会や裁判所といった諸機関がそれぞれの独自の役割を継続的に果たすことによって,社会の重要問題を解決し,国民に貢献すると想定されてきた。しかし,母国である米国では,憲法に定める基本原理が時として濫用され,紛争の長期化を助長することもある。これがシステムそのものの機能不全なのかどうかの判断は時期尚早であるが,選挙や訴訟の度に以前の争点が蒸し返されるような状況が,統治システムの在り方として健全なのかどうかは,真剣に検討してみる必要があろう。他方で,国民の統治参加を促進するという観点からは,米国憲政の現状には以前として学ぶ所がところが少なくない。
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