研究課題/領域番号 |
19K01268
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
大西 楠・テア 専修大学, 法学部, 准教授 (70451763)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 移民 / ドイツ法 / 技能労働者 |
研究実績の概要 |
2018年12月ドイツでは技能労働者の積極的受入れを目指した移民法が成立した。新・移民法のもとでは、「優先度調査(ドイツ人によって労働市場の需要を満たすことができない場合に限り外国人に就労許可を出す制度)」の廃止、「職探しビザ」の拡大など、外国人労働力を募集する法的基盤が整えられている。研究の初年度である2019年度は、2018年成立の新・移民法の立法過程で提出された専門家会議の提言・各政党の意見書等を主として文献研究の手法で分析した。 2018年10月時点での移民法制定についての連立政府間の原則的合意は、①原則として優先度調査を廃止、②有資格者への「6ヶ月の職探しビザ」の導入、③非正規滞在者(出国義務があるが出国を強制できない者/Geduldete)の地位改善にあった。③に関連する論点である、難民申請者のうち難民認定を却下された者で一定の技能を持つ者に技能労働者としての滞在資格を付与することができるか、という点については、2018年移民法成立後の現在まで議論が続いている。 2000年代以降、多くの国が移民法制を刷新し、労働市場改革と並行する形で「技能労働者」受入れの法制度を準備しているが、ドイツでは難民危機による難民認定システムの過剰負担と経済移民獲得の問題がセットで論じられている。その背景には、難民危機後の難民申請者の大量流入問題があるとともに、2018年移民法のもとでも実際には技能労働者を確保することが困難であるという事情があるように思われる。この点については、各産業分野での技能労働者のリクルート状況を踏まえた分析が必要であり、次年度以降、現地調査を行って、あらためて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度はドイツでの現地調査を行うことができず、分析に必要な情報・資料の収集が予定どおりには進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度もコロナウィルスの流行拡大にともなう入国制限により、ドイツでの現地調査は難しいことが予想される。研究の遅れを最小限にとどめるため、ドイツの外国人法の専門家・行政法学者と電子メールを通じて情報交換を行うとともに、政府や地方自治体のWebサイトの活用、業界団体への電子メールを通じたインタビューも行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
校務や国際学会発表との関係で出張日程を確保できず、ドイツでの現地調査を行うことができなかった。そのため、主として旅費について未使用額が生じた。
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