研究課題/領域番号 |
19K01273
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研究機関 | 舞鶴工業高等専門学校 |
研究代表者 |
兒玉 圭司 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10564966)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 行刑史 / 監獄 / 刑事施設 / 被収容者 / 構外作業 |
研究実績の概要 |
本研究は、明治期に作られた監獄制度の様々な帳票(言い換えるならば“ものさし”)に着目し、①“ものさし”を作る人・測る人への着目―司法・内務官僚や典獄(刑務所長)の学識・キャリアの分析、②“ものさし”で測られる人々の追跡―被収容者の属性(年齢・犯罪歴等)の把握、③“ものさし”自体の成り立ちの検証―個票・統計の書式とその根拠法令の典拠や変遷の確認を通じて、従来とは異なる観点から明治の監獄を読み解こうとするものである。 一昨年度に一定の成果を発表した①に続いて、今年度は②および③に取り組む予定であったが、「現在までの進捗状況」欄に記す通り、昨年度と同様に新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響や校務を主たる理由として本研究に十分な時間を割くことができず、研究に遅れが生じている。幸い、補助事業期間の1年延長が認められたため、引き続き当初予定していた課題に取り組み、少なくとも次年度中には、論文執筆の根拠となる史料・データの収集を終えたいと考えている。 今年度の成果は、関連文献や史料の収集を可能な範囲で行ったことに尽きる。また、本研究と直接的に関わるものではないが、公益財団法人矯正協会からお話をいただいて、「刑務所の構外作業に関する史的研究」の共同研究に携わり、『矯正研究』4号に「近代日本の刑事施設における構外作業の理論と実態」と題する論文を発表した。同研究を進める過程で、構外作業に関する史料や統計情報に触れる機会を得たため、これらの知見を、本研究課題の成果を発表する際にも生かしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受けて、勤務先の方針で感染拡大地域への出張が禁止されていたことや、文献・資料収集のため普段利用する図書館・資料館が入館制限や閉館などの措置をとっていたことから、本研究に必要な文献・資料へのアクセスが極めて困難な状態であった。 また、同感染症予防との関連で、本務校の校務も引き続き繁忙を極めたことに加え、研究代表者の個人的事情も影響して、研究のために十分な時間を割くことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
過去2年にわたり本欄で触れてきたところだが、本研究を進める上で深刻な問題が2つ存在する。1つは、①新型コロナウイルス感染症の影響により、本研究に必要不可欠な史料調査・文献収集、および研究報告の機会が大きく制約されていることであり、もう1つは、②計画申請時にはアクセス可能であった史料群に、所蔵機関の事情でアクセスできなくなっていることである。 上記2点の問題を解決し、研究を推進する方策として、まずは公刊されている文献・統計、およびインターネット上でアクセス可能な史料を用いて、必要なデータを収集したい(論文執筆に際して使用する史料・データを変更する)。また、場合によっては、研究協力者等に、遠隔地での史料収集や分析への協力を依頼することも検討している。 なお、過去2年間、研究遅延の理由として校務の繁忙化を挙げてきたが、この点には劇的な改善が見込めず、なんとか時間を捻り出せればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度からの2年間、新型コロナウイルス感染症の影響で、本務校において長らく感染拡大地域への出張が禁止されていたこと、文献・資料収集のために利用する図書館・資料館が入館制限や閉館などの措置を取っていたこと、さらに研究代表者が所属する学会・研究会の例会・総会等が中止・延期され、研究発表を行う機会が得られなかったことにより、出張旅費および史料収集・分析にあたる研究協力者の謝金を使用する機会を得られなかったことが、次年度使用額が生じた主たる理由である。 次年度は、長期休暇期間に可能な限り出張を入れて史料収集にあたることで研究の遅れを取り戻したいと考えているほか、関連書籍の購入によって不足する情報を補い(当初予定では実地調査を行う予定であったものを変更し、代替可能な史料・データを用いて論文を作成する)、さらに研究協力者に一定の作業を依頼することで、研究費を消化するとともに、研究を進めたいと考えている。
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