本研究は、明治期における監獄制度の展開を、監獄に関わる官吏、被収容者、そして彼らに対する“見方”(個票や統計の書式)に注目して捉えようと試みたものである。 その結果、1890年頃から、監獄行政に携わる官吏に求められる素養が変化し、専門化が進められることが明らかとなった。また、同時期以降、監獄を扱う専門雑誌や典獄同士のネットワークを通じて、現場からも統計書式や処遇の改善が求められていることを確認できた。 研究代表者は、1890年代以降に日本の監獄の近代化が進んだと考えているが、本研究を通じて、官吏の登用方針や官吏の活動、実務上の各種書式といった側面から、そうした見方を補強できたものと考える。
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