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2021 年度 実施状況報告書

アメリカ型政教分離体制の近代的成立に関する歴史的研究:1780-1833

研究課題

研究課題/領域番号 19K01274
研究機関東北大学

研究代表者

佐々木 弘通  東北大学, 法学研究科, 教授 (70257161)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードアメリカ憲法史 / 公定教会制 / 政教分離原則 / 宗教的自由 / マサチューセッツ憲法 / 憲法訴訟 / 立憲主義 / 憲法改正
研究実績の概要

本研究の究極的目的は、アメリカ型の政教分離体制が、今日の現代的展開に先立ちそもそも近代的に成立したときに、どんな内容を持ち、そこにどんな固有の特徴があるのかを探究することである。近代的成立時のアメリカ型政教分離体制を全体的に把握するには、連邦憲法のみならず各州憲法を検討対象とすることが不可欠である。そのために本研究が歴史研究の対象とするのは、北部の最有力州マサチューセッツが、独立宣言後に制定した1780年憲法で従来の公定教会制を基本的に維持する規定を設けてから、1833年憲法修正でそれを廃止して政教分離体制を実現するまでの経過である。1788年の合衆国憲法の成立後も公定教会制を維持したのは北部4州にとどまったが、その中でいちばん最後まで公定教会制を維持したのがマサチューセッツだった。
本研究の第3年目である本年度は、マサチューセッツにおける上記歴史経過に関する第二次文献を読み込んだ第1・2年目の成果の上に、原史料の検討・分析を進めた。具体的には、1820年の憲法修正提案(1821年に否決)に先立つ時期の、1780年憲法の具体化諸法律(1786年法、1800年法、1811年法)とその下での主な判例(1810年判決、1817年判決、1820年判決)を中心に、検討・考察を行った。
本年度は、本研究の成果そのものを公表するには至らなかった。ただ、信仰の自由と政教分離原則を含む、広い意味での内心の自由を主題とする研究書を論評する論文を公表できたにとどまった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画上、本研究の第3年目と第4年目は、第1年目・第2年目に第二次文献を読み込んだ成果の上に、マサチューセッツにおける1780年から1833年までの宗教公定制の歴史に関する原史料を分析するのに当てている。本年度もまた、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、人の移動を伴う海外での資料収集や国内外での研究会への出席・招聘などは大きく制約されたままだった。また、パンデミックに対処するための教育・行政上の負担が維持され、状況に応じて新しくなった。加えて、今年度は勤務校により行政的役職に任ぜられ、研究時間の捻出にひときわ苦労するようになった。このような研究環境の下において、できるだけのことを行うという観点からは、本年度の研究は、それなりに順調に進めることができた。

今後の研究の推進方策

本研究の第4年目にして最終年度である来年度は、1820年の憲法修正提案とそれに続く時期の主な原史料の分析を進めると共に、その分析結果と第2年目までに得た通説的見解とを批判的に対峙させる研究に従事する。ただ来年度も、本年度と同様、新型コロナウイルス・パンデミック及び任ぜられた行政的役職の影響による制約された研究環境と研究時間の下に置かれると想定される。特に海外での資料収集ができないため、検討対象としうる原史料が手持ちのものに限られてしまうが、できることを確実に進めていきたい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、資料収集のための海外出張等ができなかったことが、次年度使用の生じた主要因である。来年度、海外出張ができる状況になれば遂行したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 書評:渡辺康行『「内心の自由」の法理』(岩波書店、2019年)2021

    • 著者名/発表者名
      佐々木弘通
    • 雑誌名

      憲法研究

      巻: 8 ページ: 183-195

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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