研究課題/領域番号 |
19K01286
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
友岡 史仁 日本大学, 法学部, 教授 (00366535)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自主的創意型規制緩和政策 / 規制のサンドボックス / 金融規制と公法学 / FinTech / RegTech |
研究実績の概要 |
2019年度(第1年目)は本研究課題に関する諸文献(特に外国語文献)の入手に力を入れた。この場合、①本研究課題の中心的テーマとなる「規制のサンドボックス」制度に関するもの、②実証実験として金融規制に関するもの、③特に英米豪に関するもの、④公法学と関わり合いがある銀行法に関するもの、⑤規制緩和政策として他分野に関わる業績、といった視角に立って、入手することを心がけた。 これまで、本研究課題に関わる特質として、政策提言を発信する方法を内容とした研究成果も存在する一方で、それを既存の法制度との絡みでみようというそれについては、必ずしも発見できていないことが、問題となる。加えて、本研究課題につながる過去の実績その他、公法学以外の他の法学的見地や別の社会科学分野(例、経済学等)にわたる諸文献に接しつつ、一定の問題概要を把握しながらも、新たな視角を立証できる程度の論点を抽出すべく、様々なアプローチの必要性を看取することに努めた。 以上にあって、現時点では、本研究課題の中心的論題である公法学の見地からは、やはり関連文献が少ない、または触れているとしても深化していないなど、取得した諸文献からは私法学に検証方法が偏っていることが分かったことが、第1年目の成果である。この結果、ある程度私法学の見地からのアプローチにおける諸課題を抽出しつつ、公法学にとって必要な視角が一体何であるか、さらには諸外国の制度実態がどの程度進んでいるかについて、より詳細に検証することが必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1年目に予定していた網羅的な関連諸文献の取得は、かなり進展したと考えている。他方で、「研究実績の概要」にも触れたように、本研究課題が目指す公法学からのアプローチのために必要となる情報について、自らそれを処理するうえでの能力が不十分であるということに気付き、第2年目の課題につなげることができた点で、おおむね順調と評価したい。
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今後の研究の推進方策 |
第2年目は、第1年目で取得した諸文献をさらに読み込む一方、諸外国におけるこれまでの研究成果と制度実態をより詳細に検証していきたいと考える。 ただし、新型コロナウィルスの影響により、本研究課題が着目する金融制度(FinTech,FinReg)が場合によっては根本的変容が迫られる可能性が高い。また、当該諸外国における予定している現地調査を実施することを考えているが、現時点ではその可否について予想が立たない。このため、少なくとも現時点では、第1年目と同様、できる限り国内で入手できる諸文献をつぶさに検証し、そこから看取し得る諸論点や実態に係る課題を整理し、公法学のアプローチに照らし合わせながら、研究を進めていきたい。 なお、国内研究会において、「規制のサンドボックス」制度に係る諸課題について報告する機会を早めに設けることで、自ら進捗状況の妥当性について検証できる場を設けることを試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、まずは関連分野の書籍を中心に収集することから始め、当該テーマから研究範囲を一層拡大するための基本的な概念を確定させるうえで、金融制度にターゲットを絞ったことで、研究素材の中身を限定する必要性が生じた(この結果として、改めて本研究のテーマに沿った内容の精査と検証を試みることができた)。この結果を基に、金融制度との隣接テーマ(特にAIや他の一般規制を含めた)にまで研究範囲の拡大を行い、前年度以上の成果を出すことに努めるため、次年度使用額が生じたものである。
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