本研究では、先行する筆者の研究に引き続き、君主制原理の核心的理論と、それから派生するさまざまな制度や法理を分析した。君主制原理は、国家の全統治権を君主が本来掌握していること、しかしその実際の行使にあたっては、君主自らが定めた憲法にしたがって行使することを意味する。大日本帝国憲法4条の「天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ」という規定は、君主制原理を明確に規定している。 本研究では、君主制原理の理論的核心を改めて日本およびヨーロッパ各国の歴史に照らして確認するとともに、君主制原理と国家法人理論および人民主権原理との相剋を理論と実践の両面にわたって分析した。
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