研究課題/領域番号 |
19K01290
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
近藤 敦 名城大学, 法学部, 教授 (30215446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 多文化共生 / 移民政策 / 統合政策 / インターカルチュラリズム / 外国人の人権 |
研究実績の概要 |
本研究は、国と自治体の多文化共生政策の異同をめぐり、日本と諸外国における法令、判例、学説を比較分析し、多文化共生社会を実現するための法制度の検討を目的とする。このため、2019年度は、多文化共生の政策と法制度のめざす基本理念のあり方を検討し、具体的な諸制度の問題点を調査した。とりわけ、同化主義、多文化主義、インターカルチュラリズムとの比較考察をしながら、理念と具体的な政策や法制度と理念との関係を検討した。また、多文化共生の基本理念を憲法と人権諸条約の根拠規定を明らかにし、日本独自の多文化共生の特徴と諸外国にも通じる普遍性を世界に発信した。さらに、グローバルな立憲主義の課題と展望について、国と自治体の多文化共生に関する政策と法制度における個別具体的な問題に即して実証的に確認した。具体的には、論文として「外国人労働者受け入れと多文化共生社会の実現に向けて」、「2018年の入管法等改正の課題と展望」、「外国人にシティズンシップを開く:参政権・公務就任権・複数国籍を中心とした諸外国との比較」、「民主主義国における移民の社会統合の国際比較」を発表した。講演・口頭発表として「多文化共生と人権」、「移民法制と外国人の人権保障ー多文化共生時代の憲法学」、「移民統合政策指数と移民統合指標にみる日本の多文化共生政策の課題」を行った。また、ニューヨークタイムズや朝日新聞、毎日新聞などの日本の多文化共生政策に関する取材に応じて、研究成果を社会に還元することにも努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献収集を積極的に行って、それを渉猟することに努めているが、新型ウィルス対策として、研究室の利用を抑制する必要があったり、研究会などで集まることが制限されている。ただ、事前に許可を得れば研究室に資料を取りに行くこともできるし、遠隔での研究会活動もはじめており、研究への支障は、最小限にとどまっているので、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、公共サービス、ビジネス・労働市場、差別禁止、家族結合について、(国際および国内)人権規範に関する各国の学説・判例・法制度を比較分析する。とりわけ、2019年4月から導入予定の「特定技能」の在留資格の問題を家族結合の権利などの人権規範と諸外国の実務に照らし、検討する予定である。ただし、新型ウィルス対策の制限もあって、次年度以降の研究課題の先取りや今年度の課題を次年度以降に先送りするなど、臨機応変の対応を場合によっては必要とすることになるものと思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献収集を一部先取り的に行っているものの、新型コロナウィルス対策の関連で、海外発注分の文献の遅配と海外調査ができなくなっていることから、次年度使用額が生じている。
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