研究実績の概要 |
本研究は、規制と給付の二分論および制度理論に関する研究とアファーマティヴ・アクションに関する研究とを結びつけることで、アファーマティヴ・アクショ ンが実際に問題となるコンテクスト(公的雇傭・公共事業・大学)のもつ特性を踏まえたアファーマティヴ・アクション論を構築することを目的としている。 本年度は,まず,合衆国最高裁が公立大学におけるアファーマティヴ・アクションについての判決が下されることを想定して,そのための準備作業を中心に行った。まず,妊娠中絶についての判例を変更した2022年の合衆国最高裁判決(Dobbs v. Jackson Women's Health Organization 〔597 U.S. ___〕)についての分析を行った。次に,パブリック・フォーラム論の研究を行った。この研究は,本研究の中では規制と給付の二分論および制度理論に関する研究に位置づけられる。具体的には,公立大学の施設が当該大学の学生にとってパブリック・フォーラム(指定的パブリック・フォーラム)かが問題となった1981年の合衆国最高裁判決(Widmar v. Vincent, 454 U.S. 263)の研究を行い,道路や公園以外の公的な施設がパブリック・フォーラム(指定的パブリック・フォーラム)となるのはいかなる場合か,という点についての解明を目指した。そして,この研究成果の一部を論文として公表した。また,制度理論に関わる研究として,憲法論における大学の位置づけを探る研究を行った。さらに,ようやく出たアファーアマティヴ・アクションについての合衆国最高裁判決(Students for Fair Admissions, Inc. v. President and Fellows of Harvard College 〔600 U.S. ___〕)の分析に着手した。
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