本研究では、議会立法者が事前に自らの規律の結果につき十全な知識をもたない領域が増加し、むしろ、規制の名宛人が当該規制のもつリスクについて最もよく知っている、という動態的知識形成や共同規制に関わる内外の理論状況を踏まえて、このような私的アクターが有する知識や動態的に生成された知識をいかにして収集し、公共体の透明な統治構造の中に取り込むか、という問題構造の解明に取り組んだ。このようなガバナンスやリスク統御理論に関わる論考を収めた単著『統治機構論の基層』が、本研究の成果として間もなく刊行される予定である(2023年7月刊行予定)。
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