研究課題/領域番号 |
19K01302
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
渡邊 賢 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (50201231)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 公務員 / 表現の自由 / 職務命令 / 意見具申 |
研究実績の概要 |
本研究は、民主的正統性の観点からの統制が求められる公務員制度において、民主的正統性の過剰に対抗するための一つの手段として、上司の職務命令に対する職員の意見具申の仕組みにつき、表現の自由を中心とする憲法上の人権規程との関係での位置づけの可能性等を検討するものである。平成31年度に行った職員の意見具申と表現の自由との関係に関する理論的な研究に引き続き、意見具申制度のあり方を比較法的に探求するために、令和2年度においては、主としてドイツ官吏法における意見具申制度について研究を行った。 本来、令和2年度については、「研究実施計画」上は、アメリカ合衆国に赴きカリフォルニア大学バークレー校のCalifornia Public Employee Relations Program, Institute of Relationsを訪れて調査を行う予定であったが、コロナ禍のために渡航できず、この点大幅な計画修正を余儀なくされた。 そこで、令和2年度においては、令和2年3月11日に行った若手を中心とする小規模の研究会ので報告を踏まえて、考慮事項研究会(篠原永明甲南大学准教授主催)において、公務員制度と統治機構に係る諸原理との関わり合いの観点からの報告を令和2年9月3日に行い、民主的正統性という観点から公務員制度に課せられる諸要請が立法政策においてどのように具体化されうるかについての検討を行った。民主的正統性の過剰への対抗手段としての意見具申制度を構想する本研究にとって、民主的正統性が公務員制度において具体的にどのように具現化されるかを検討する機会を得たことは、きわめて有意義であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本来的には令和2年度においては合衆国に渡米してカリフォルニア大学バークレー校に設置されており合衆国及びカリフォルニア州の公務員制度に関する豊富な資料を所蔵しているCalifornia Public Employee Relations Program, Institute of Relationsを訪れて対面調査と文献調査を行う予定であったところ、コロナ禍により渡航することができず、研究の進捗上大きな支障が発生した。上記の対面調査と文献調査は研究上きわめて大きな意味を持つものであることから、令和2年度において上記施設における調査を行うことができなかったことによって、研究の進捗に遅れが発生している。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては合衆国に渡米する機会がなかったことから、かえって、調査内容の精査を進めることができた。したがって、令和3年度においては、上記の調査を行うことさえできれば、その結果を分析することに研究を集中させることができることから、現時点で発生している研究の遅れは十分回復可能である。いずれにせよ、今後の研究の推進にとって最も重要なことは、予定している海外における対面調査・文献調査を行い、それに基づき、本研究の目的である公務員制度における意見具申制度のあり方に関する考察を展開することである。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度においては、海外出張を予定し旅費に700,000円を計上していたが、コロナ禍により海外出張ができなかった。そこで、次年度使用額と今年度分の財源を併せて使用して、令和2年度に予定していた海外出張を今年度行う。
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