5年間の研究期間を通じて、本研究では以下の2点について研究成果が得られたと考える。1つは、フランスの2004年宗教的標章着用禁止法制定以降の移民をルーツに持つ児童生徒の宗教的自由についての現状を論文として公表できたことである。併せて、2004年法の鍵概念となるフランスの「教育の自由」に関する歴史的な経緯を分析し、論文としてまとめることもできた。2つには、移民をルーツに持つ生徒や学生の就職に際しての困難は学業成功の状況に依存してはいるものの、とりわけイスラム系の生徒や学生に対する格差が存在していると判断される点である。後者の点は研究を継続し、概ね1年以内にその成果を公表する予定である。
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