シリアの化学兵器について国際法の観点から論じることをテーマとし、とくに化学兵器の不使用という国際人道法上の義務と化学兵器の廃棄という軍縮法上の義務の遵守の問題に焦点を当てて、化学兵器禁止機関と国際連合における実践を詳細に分析した。分析を踏まえて、遵守と不遵守の間には潜在的な不遵守という曖昧な状況が存在していることと、この曖昧な状況が遵守の状況に回帰するのかそれとも不遵守の状況へと移行するのかが実践上の大きな課題となっていることを明らかにし、さらに「潜在的な不遵守の検討」にあたり重要となる要素を義務の性質に応じて提示した。
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