研究課題/領域番号 |
19K01323
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
多田 望 西南学院大学, 法学部, 教授 (40274683)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際司法共助 / 外国における証拠調べ / 電子証拠 / Eディスカヴァリ / 民事訴訟の電子化 / 国際証拠保全 / EU証拠収集規則 / ハーグ証拠収集条約 |
研究実績の概要 |
本研究は、国際的な民事紛争解決手続における在外証拠の収集・取調べに関して、21世紀になって急速に展開してきた現代的課題、すなわち、①電子証拠およびインターネット等の電子通信手段を通じた証拠の域外的収集、②知的財産権侵害における国際証拠保全、③国際商事仲裁の場における域外的証拠収集等について、条約や実務の現状の把握とその理論的分析を、国際私法学、国際民事手続法学、国際知的財産法学および国際法学の視点から総合的に研究することを目的とする。 これらの問題意識を受けて本研究においては、まず、裁判所における事実収集の主権行為性に関して、2019年5月の福岡家族法研究会で、家裁調査官から在外居住未成年子に対して電話やスカイプ等で意見聴取を行うことは主権侵害の意識は薄いであろうという実務的感覚の知見が得られた。また、同年11月に行われた第16回世界訴訟法会議の「訴訟手続における電子的テクノロジーの活用」および「新種証拠をめぐる近時の状況と課題」のセッションにおける各報告を聴取し、本研究の視点から情報収集を行った。一方、国内での議論が活発化して3つの重要な論稿が国際法外交雑誌118巻に立て続けに公表され、本研究に大きな進展が得られることになった。さらに、EU証拠収集規則の2018改正提案に対する関連諸機関から意見が出された。以上により得られた有益な知見に基づき、今後、研究の成果を鋭意、論説としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年8月から日本の中央当局の事務を取り扱う外務省領事局政策課に調査訪問を申し入れたが、「検討する」との11月の連絡を最後に連絡がない(改めて調査訪問を申し入れる予定)。2019年度末の2020年2月に、韓国の中央当局への調査訪問を予定していたが、新型コロナウィルス感染防止としての事実上の海外渡航制限が発生したため、予定を実現できなかった。同様に、同年3月に最高裁判所事務総局民事局への調査訪問を予定していたところ、同じく感染防止としての事実上の越境移動制限が発生したため、予定を実現できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染状況が終息し次第、最高裁判所事務総局民事局、日本、韓国および中国の中央当局、ハーグ国私私法会議への調査訪問を実施する。電子通信手段による域外的証拠収集および国際証拠保全に関する文献を収集し、成果の公表に向けて取りまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス対策により韓国および東京への出張を差し控えた分の旅費を書籍購入等に振り替えようとしたが、選書に手間取り、一部残高が出てしまった。次年度において、優先的に旅費で使用する。
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