社会保険制度として展開されている医療保険や介護保険は、多くの国民に利用され、制度としては盤石なように見える。しかし、法的な視点からは、制度の中で誰が誰に対していかなる権利義務を有しているのかにつき、必ずしも意見の一致を見ない。本研究は、この問題について検討を加えることにより、社会保険制度に内在する契約の所在とその内容を明確化することを目的とした。本研究を通じて、各当事者の権利義務関係が明確化されると同時に、被保険者が支払うべき一部負担金の性質や内容、被保険者が支払わない場合(未収金)の法的対応、診療報酬債権の消滅時効の起算点など、社会保険を巡って実務上争われる諸問題の解決に資することになる。
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