本研究では、わが国における疾病予防、健康増進施策の展開を踏まえ、医療保障法制と公衆衛生施策を統合する観点として、健康保障法という理論枠組みの成立について検証した。健康保障法の視点を導入することにより、一次予防に関わる諸施策を社会保障制度の一部として積極的に位置付けることが可能となる。そのような観点から、今後の特定健診・特定保健指導のあり方、データヘルスの進展への対応、かかりつけ医の具体化について一定の方向性を示した。また、健康増進、疾病予防の観点を取り入れた診療報酬制度のあり方を検討する必要性を指摘した。
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