本年度は、前年度末に突如、研究代表者が公正取引委員会の委員に就任することとなり、4月12日に研究を中断せざるを得なかったため、デジタルプラットフォームに対する法制度の枠組みを検討するにとどまった。 研究期間を通じての研究成果としては、課徴金・同減免制度、調査協力減免制度、確約手続等につき、わが国、EU、米国について検討し、その成果は、下記の単著のほか、共著の研究書(書籍)として公表するとともに、日本経済法学会年報、日本国際経済法学会年報、ジュリスト、法学志林、法学教室等で論文を公表した。 単著『独占禁止法』(有斐閣、全802頁)を公刊し、課徴金制度・同減免制度、調査協力減免制度、確約手続等について、わが国における論点を網羅的に検討するとともに、EU、米国と対比しつつ比較法での検討も行った。ほかに1つの編著、2つの単著(分担執筆)を公表した。日本経済法学会年報の特集「独占禁止法のエンフォースメント」、日本国際経済法学会年報で国境を超えるデータポータビリティ等を公表した。デジタル市場での企業結合規制では、共著の研究書の論文のほか、ZHD/LINE事例等検討し、優越的地位の濫用のエンフォースメントでは、ラルズ事件東京高裁判決、食べログ事件東京地裁判決等につき、実体法の論点のほか課徴金の問題等を検討した。 デジタル市場競争会議とWGに参加し、モバイルOSに対するの規制のあり方を検討する作業をするとともに、EUのデジタル市場法(DMA)等を検討しつつ、新しい競争法の規制手法としての「事前規制」の検討をした。また、競争法と個人情報保護法、プライバシー保護との関係を関係にき、「競争法と個人情報保護法の交錯点」を公表した。 競争法におけるエンフォースメントでアドボカシー、ガイドライン等が果たす役割を検討する研究成果を公表し、電力市場での自由化、市場化がもたらした新たな競争政策上の課題も検討した。
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