研究課題/領域番号 |
19K01335
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
早川 智津子 佐賀大学, 経済学部, 教授 (90451492)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 外国人労働者 / 労働法 / 入管法 / 移民法 |
研究実績の概要 |
【研究の目的】本研究は、外国人労働者の受入れ制度のあり方に関し、「国際労働力移動に係る国際協調と受入国の外国人労働政策との関係をめぐる比較法的研究」を行うものである。 【2019(令和元)年度における研究の成果】本課題研究の初年度である2019年度は、以下のとおり国内での資料・情報収集を中心に、海外での予備的調査を行った。 ① 国内調査研究: 資料収集、情報収集等を行った。資料収集では、外国法文献データベースを活用しつつ、研究に必要な文献調査を行った。とくに、日本においては、2018年末に改正された出入国管理及び難民認定法が2019年4月から施行されており、その動向が国内外において注目を集めていたことから、当職が受けたこれまでの科研の成果を含む既発表論文を取りまとめて著書『外国人労働者と法』(佐賀大学経済学会叢書、信山社、2020年)を刊行した。その編纂作業の一環として、アメリカ法について論文発表時以降の判例等の確認作業を行うことができた。 ② 海外での予備的調査研究: 上記①の国内での調査研究を踏まえ、アメリカ合衆国の若手移民法研究者の学会に参加して、アメリカ法の情報収集をするともに、日本法の現状について研究発表し、調査手法についてアメリカの研究者からのアドバイスを受けた。 以上の国内での調査及びアメリカでの予備的調査では、日本及びアメリカの外国人労働者をめぐる現状を見ることができ、とくにトランプ政権下の動向について一応の状況把握をすることができた。日本法の状況を海外研究者に情報発信をすることを通じて日本法の問題を抽出する視点を得ることができた。これらの成果を次年度以降の研究につなげてまいりたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、国際労働移動に世界規模の制限がなされている状況である。本来ならば、海外調査を行う計画であった2019年2-3月において海外調査を実施することができなかった。こうした状況の下で、海外調査に代えて外国法データベースや国内文献を利用した研究を中心に研究を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
上記のとおり、2020年に入ってからの新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、2020(令和2)年度の研究計画は、現時点の状況では海外調査を控えるなど一定の影響を受けざるをえない状況にある。しかし、それに代えて外国法データベースや、オンラインでの情報収集に努めて参りたい。また、本コロナ禍の収束を待って可能であれば国内(県外)・国外の調査を行っていきたい。 本研究の目的及び2019年度の研究の成果等を踏まえ、2020年度以降(2020年度、2021年度)において、アメリカ合衆国、イギリス、EU等の現地調査を実施し、国内外において論文ないし研究発表等を行い、研究成果を公表する。 ① 現地調査研究等: 2019年度の調査研究の成果を踏まえ、2020年度及び2021年度において、国際協調の取組が各国の労働政策にどう活かされているかについて、アメリカ合衆国、イギリス、EU等の現地調査を行いたい。併せて、国際会議参加及び研究報告による情報の収集と発信を行う。コロナ禍のために、現地調査が難しい状況においては、外国法文献データベースや、インターネット、オンラインでの情報収集ができないかについて検討していきたい。 ② 国内調査研究及び成果の公表: 本研究テーマの情報・資料収集を行ったうえで、本研究を通じて得られた成果を、学会(国際学会を含む)や研究会などで発表し、他の研究者等との意見交換を図りたい。また、海外および国内の研究者等から専門的な知識を提供してもらう場を設け、本研究の途中経過を報告してアドバイスを仰ぐ。さらに、本研究の結果を政策的提言としてとりまとめた研究論文を執筆し、国内・国外で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年に入ってからの新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響を受け、2019年度末において当初計画していた海外調査を中止せざるを得なかった。こうした事情の変化の下でも、外国法文献のデータベースやオンラインなどを利用して、効率よく情報収集を行っていくほか、コロナ禍の収束を待って、海外調査を再開してまいりたい。
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