研究課題
基盤研究(C)
本研究は、2016年刑訴法改正により導入された協議・合意制度および刑事免責制度において、適切な訴追裁量の行使の在り方を検討するものである。比較法検討の対象である合衆国の議論を参照し、(1)許されない訴追裁量の行使の類型(選択的起訴および報復的起訴)を確認し、(2)実際に問題となった、検察官の不当な取引事例や恣意的決定の事例を調査し、(3)不当な訴追裁量の行使を抑止するための学説による改革提案などを精査した。
刑事法学
協議・合意制度および刑事免責制度(以下、「新制度」という)においては、起訴の公正性を担保するための制度は設けられなかった。(2)合衆国における検察官の不当な取引事例や恣意的決定の事例は、わが国でも起こりうるため、新制度の課題を具体的に明らかにするものである。また、(1)許されない訴追裁量の行使の類型や、(3)不当な訴追裁量の行使を抑止するための学説による改革提案は、新制度の今後の運用や法改正において役立つものであると考えられる。