あるべき事実認定の密度については,従来,主として概括的認定との関係で論じられてきたものである。その限りで,先行業績も多数存在する。それに対して,本研究の成果の意義は,これまでの研究を踏まえ,最終的に事実認定の密度それ自体が,訴訟当事者の訴追活動,および裁判所の訴訟運用それ自体に左右されることを明確に指摘することにある。このような議論を整理する際の枠組みを定式化し,その一端を提供する研究はなお少なく,学術的な意義があると思われる。また,判例を踏まえ,社会実装を見据えて先の枠組みを提示する点で,社会的にも有意義たり得る。
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