これまでヘイトスピーチ規制については、ヘイトスピーチが単なる不快表現とは異なることを示すため、その害悪、侵害法益が種々論じられてきたが、規制手段との組み合わせを意識してこれを論じる見解はなかった。これに対して、本研究ではヘイトスピーチの侵害法益に複数の側面があることを整理したうえで、規制手段に応じた保護法益に着目することで、民事、刑事、行政規制のすみ分けを示すことができただけでなく、従来の学説の枠組みでは規制が困難とされてきたインターネット上のヘイトスピーチについても規制を可能とする理論を示すことができた。
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